れもん哀歌

13-Do ページ13

『いやー！ご迷惑お掛けしました！』


数日の休養を経て 今日から仕事に復帰する

ミコトが裁判に出るとか

系ちゃんが坂本さんと訴訟を抱えてるとか

入院中にUDIで起きたことは聞いていたから

私はスムーズに仕事を始めることができた



『中堂さん 坂本さんの件どうなりました？』


夕方すぎまで黙々と溜まった書類を片付けていたけど

不意に気になって声をかけた


中「どうも何も 俺は何もしていない」

『言いきれるのがすごい』


あぁ そういえば

まだ言ってなかったな 夕希子さんに会ったこと


『この前ね 夕希子さんに会いに行ってきたの』

中「どうだった」

『二度と来るなって水かけられた
人 殺しって怒鳴られて』

中「そうか」

『私 殺 してないのに
あんなに大切な人を殺 せるわけない…』


PCの画面を見つめながらボロボロ涙が出てきて

夕希子さんが泣いた時必ず系ちゃんは涙を拭ってあげていたのに

系ちゃんがソファから動くことは無かった








UDIの今後をかけた…って言うのは大袈裟かな

ミコトが坂本さんの件

系ちゃんが裁判

お互いの仕事を入れ替える

ほんと頭いいなぁ


ネクタイが曲がった系ちゃんを呼び止めて結び直していると


中「A」


名前を呼ばれた

私は身長が155cmしかないから30cm近く差がある系ちゃんを

見上げるように顔を上げた 瞬間

目の前に迫る系ちゃんの顔と唇に触れる柔らかい感触

私がネクタイを握っているから

傍から見れば私がキスを迫っているように見えるだろう


『ちょっと！！私は真剣なの！』


きっちりしめられた襟元を少し緩めて

未だに紫色の痣が残る頬を系ちゃんの温かい手がなぞる


中「行ってくる」

『いってらっしゃい』


裁判所に入っていく系ちゃんを見送って

小脇にヘルメットを抱え直すと

ミコトがいるカフェに行くためにバイクを取りに行く



カフェの駐車場に行くと ガラス越しに会計をするミコトが見えた


三「A!!待たせてごめんね」

『ううん 私も今来たとこ 行こう ヘルメットこれね』

三「ありがとう!!」


ミコトを後ろに乗せて 来た道を戻る


裁判所に着くとミコトは私にお礼を告げて

走って中に入っていった

私はこうゆう場所が苦手だから

エントランスをうろうろする


その時


「『いだｯ』」


正面から来た男性ぶつかった

アフロみたいな髪型のその人は軽く頭を下げると

建物の外へと走っていく




「今の女性 どこかで…」


アフロの呟きは私に届かなかった

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