君がため ページ15
『ままにとっての白馬の王子様はね、ぱぱなの。』
小さい時からそう言って育てられた
色素の薄い赤茶色のゆるくウェーブした母の髪が
今でも深く記憶に残っている
私は その綺麗な長い髪を揺らしながら
父のために食事を作る母の後ろ姿が大好きだった
『ぱぱは悪い魔女に操られてるのよ』
ある日 父が連れてきた黒いまっすぐな髪の女を
母は泣きながら 蔑んだ
『ぱぱを悪い魔法から解けるのは貴方だけなの』
私は黒髪の女をほんとに魔女だと思い込んでいた
次の日の夜 私は気が付けば車の後部座席のチャイルドシートにいた
いつも隣にいるはずの母はいなくて
父の隣の助手席には 黒髪の女がいた
父は母を捨て 黒髪の女を選んだ
私が高校生になるまでに十歳下の双子の姉弟が生まれた
両親の件があってから
私は 異性を避けて生活してきた
結婚も恋愛もする気なんてなかった
でも、私は今日
教壇に立つふわふわした髪と雰囲気の
丸山先生に恋をした
この学校に入学して初めての国語の授業
教壇に立つふわふわの人は人懐っこそうに笑う
｢初めまして みなさんの国語の授業を担当する丸山です 京都出身の30歳です よろしくお願いします！ なんか質問ある人ー！｣
一目惚れ
あぁ、この人が私の運命の人なんだ そう思った
彼の雰囲気にのって 数人の男子が手を上げる
｢はい、じゃー、えっと、湯澤くん｣
｢結婚してますかー｣
｢残念ながらしてませーん｣
よかった 一安心
不倫なんてそんな汚らわしいことしたくないもん
｢次はー、松本くん｣
｢彼女はいますか｣
｢居るよ 今日もめっちゃ可愛い僕のお姫様が僕の帰りを待ってるんよ！｣
…そりゃそうだよね
彼くらいの人を世の中の女が放って置くわけないし
でも、まだ結婚してないなら
横取りするのは 悪いことじゃないよね？
彼女さんには悪いけど 私どうしても彼が欲しいの
じぃっと彼を見つめていたら 目が合った
ニコッと笑いかけると 彼も笑って
｢織田さん 質問どーぞ！｣
｢好きです、先生｣
教室は一瞬の静寂の後 爆笑の嵐が巻き起こった
この1件で 私は仲のいい友達もGETした
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おくら(プロフ) - きゅうりの１本漬けさん» すみません！ご指摘ありがとうございます！ (2018年4月14日 12時) (
レス) id: 90c9252683 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうりの１本漬け(プロフ) - 一つだけ訂正発見しました！横山が名字なのに9ページのLINEで、すばるくんの苗字がしぶたにになってます！作品は凄く面白いです！これからも他の作品頑張って下さい！ (2018年4月13日 15時) (レス) id: 3803ce921b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おくら | 作成日時：2017年6月22日 22時
