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心が、痛い。眠りたい。目が覚める。痛い。



「...ん、」



深い眠りから覚めた私は、今世の家である宿儺様の屋敷の布団に横たわっていた。

あたりが暗く深夜であることが伺える。心細い蝋燭が数本、少し離れた場所でゆらゆらと炎を宿していた。



「宿儺様...」



小さな声で呟いたはずのそれは、やはり貴方には聴こえてしまうようで。



「...A?」



いつもの余裕の声色が消えた宿儺様の声がした。もう一度名前を呼ぶと、奥の方から物が落ちる音が聞こえてきて。次の瞬間には目の前に宿儺様が立っていた。

酷く驚いた顔の彼は 相変わらず綺麗な白い着物に身を纏っているかと思いきや、彼に似つかわしくない泥や皺がついたままだった。


私の目を見て眉間にシワを寄せたかと思うと、ぎゅっと抱擁をして私の背中に腕を回す。私も宿儺様の背中に手を伸ばして。



「こわ、かった、」



自分の声じゃないような情けない声が出る。大抵のことにはあまり驚かない自分でも、今回の事件は恐怖を感じたようだった。

彼は眉間のシワを更に深くして、抱きしめる腕にも力が増える。



「安心しろ、A。小僧どもに命じた奴らも皆 同じ目に合わせてやったわ」

「...うん、」



呪いの王はいつだって、私を守ってくれる王子様。
彼の前では誰もが無力。


もう離さない、とばかりに抱きしめられても痛まない傷。不思議に思って見てみると怪我をしていたはずの場所には何もなかった。
大事な力を私に使ってくれたことがわかり、心がほっこりする。



「ありがとう、宿儺様」

「俺のものが勝手に死ぬのは許さない」




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( 愛から始まる呪いは重い。)

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ましゅ(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです!!どうかなもさんのペースで更新していってくださると嬉しいです!応援してます! (2023年3月23日 20時) (レス) @page16 id: a3623c9dc1 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - なもさん初めまして、この小説は五条悟オチでお願いいたします。続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月16日 22時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なも | 作成日時:2020年12月31日 14時

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