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思わず「ふざけるなよいッ!!!」と怒鳴りながら手錠の鎖をガッと引っ張る。
「よさねェか、マルコ」
「親父、」
親父に止められて掴んだ鎖を離すと女が軽くよろめいた。
ふと見えた手首は今朝からの短時間にも関わらず、手錠で赤く擦れていて。皮肉にも、白い肌に痛々しい紅が映える。
「...あの日、」
ぼそっと呟くように女が話し始める。
「あなたが、お父さんが...敵襲で傷ついた私を見て涙したあの夜...私がこの世界に生まれたの。家族と呼び、怪我を治し、時には息子たちに注意もして。私が生まれた時に見たのはお父さんの涙だった。私、あのとき何度も謝られたけど...私が私になる前も、きっとずっと感謝してた。だから、やっと、やっと、お父さんと話すことができて......本当に嬉しい...ッ!!」
最後に涙を見せてそう語った女は、儚く美しく笑っていた。彼女の言葉を聞いて親父は珍しく驚き...そして笑う。
「そうかァ...お前が.....」
エースと俺は何が起こってるのか分からなくて親父に視線を送ると、一言。
「こいつが、モビーだ」
「ふふっこんな小娘でがっかりした?」
「馬鹿言え...綺麗な娘ができてがっかりする父親がいるかよ、アホンダラァ」
目の前で繰り広げられる言葉の嵐。ぽんぽんと話す2人には何か見えない糸があるようで。
この女がモビーという事実にも頭が混乱する。
「...ハァ!?!?」
ワンテンポ...いや、ツーテンポくらい遅れて反応したエースに目の前の女がくすくす笑う。
心から楽しそうに笑う姿は、まるで心を許した相手に見せる笑顔のようで。きっとこれには流石の親父も見入っただろう。
「えーっと、とりあえず説明します?」
俺たちの混乱を感じ取ってそう言った彼女は可笑しそうに笑った。
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麗葉 - 皆可愛い(●´ϖ`●)そんでもってイゾウさん、、ほんとその色気の暴力やめて下さい!好きすぎます!! (5月24日 22時) (レス) @page23 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
じょったん - めちゃくちゃ好きですぅぅぅぅぅぅヽ(;▽;)ノ もうマジでバカ可愛いやん何!?!?って感じです…これからも応援させていただきます!!!!!! (2022年4月6日 13時) (レス) @page23 id: f889728e73 (このIDを非表示/違反報告)
柃。(プロフ) - いいですね!!とても!!夢主ちゃんと白ひげのみんなのやりとりがもう尊い…続き楽しみにしてます! (2022年3月13日 10時) (レス) id: 70c717cb52 (このIDを非表示/違反報告)
一輝 - 更新早くして下さると嬉しいです楽しみに待っています (2021年1月2日 17時) (レス) id: 61bf71a8cd (このIDを非表示/違反報告)
雪菜 - 続きを楽しみにしています更新頑張ってください (2020年10月23日 22時) (レス) id: 61bf71a8cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なも | 作成日時:2020年8月29日 19時