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騒がしい声が聞こえて、思わず眉間に皺を寄せながら目をゴシゴシと擦る。
その手を止めさせて、「腫れちまうからやめときな」と口にしたのは昨日一緒に見張り台に居たイゾウだった。その声にやや遅れて「Aちゃん!!!大丈夫か!?!?」と叫びながらサッチが見張り台を見上げるように顔を覗かせた。
「?どうかしたの…?」
思わずキョトンとした顔でそう尋ねると、ことの経緯を教えてくれた。
確かに見張り台という狭いスペースで男女がくっついていたらそんな勘違いもあり得るか、と一人で納得する私。イゾウは「俺は勘違いで終わって残念だなァ」と言ってニヒルな笑みを見せた。色気の暴力だ。
「おまっ、そういうとこだぞ」
「お前も思ってるだろうが」
「いやまあ確かにAちゃんと一晩「楽しそうな話だよい?」……やっべ」
私をおいて話し始めた二人に困っていたら、両腕だけ翼に変化させた長男が黒い笑みを浮かべてサッチの背後に現れた。
途端に顔を強張らせて後ろを振り向こうとするサッチだったが、その前にマルコに見張り台に登る梯子から蹴落とされ、思わぬ高所からの着地に足がジンジンと痛むのか、悲痛な声を上げている。
マルコはそんな彼を蔑んだ目で一瞥すると、今度は私に向かい直した。
「すまないねい、男所帯だとどうにもこうにもな…」
「お嬢の前で面目ない。ちょいとおふざけが過ぎたな」
「ふふっ、大丈夫だよ。それよりサッチは大丈夫かな」
「あいつは無駄に頑丈だからな、Aが心配する事はないよい」
下から「無駄にってなんだーーー!!!!!!」と叫ぶ声が聞こえたが、他の4番隊員に厨房に引き戻されていった。
「さて、俺も戻るとするかねい」
私は、そう言って下に戻ろうとする彼を思わず引きと止めて、「あの…もしよかったら、連れて行ってくれないかな」と口にした。
登るのは大丈夫でも降りるのは正直怖いのだ。その点、マルコに連れていってもらえたら怖さがなくなると思う。
少し驚いた表情を見せたマルコだったが、私がもう一度お願いすると背中(と言ってもおんぶの形)に乗せてくれた。薄着のため、マルコの筋肉質な体が直接伝わってなんだか少し恥ずかしい。
「ありがとうね、マルコ」
「…よい、」
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〈ククっと笑う16番隊隊長が居たとか、居なかったとか〉
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麗葉 - 皆可愛い(●´ϖ`●)そんでもってイゾウさん、、ほんとその色気の暴力やめて下さい!好きすぎます!! (5月24日 22時) (レス) @page23 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
じょったん - めちゃくちゃ好きですぅぅぅぅぅぅヽ(;▽;)ノ もうマジでバカ可愛いやん何!?!?って感じです…これからも応援させていただきます!!!!!! (2022年4月6日 13時) (レス) @page23 id: f889728e73 (このIDを非表示/違反報告)
柃。(プロフ) - いいですね!!とても!!夢主ちゃんと白ひげのみんなのやりとりがもう尊い…続き楽しみにしてます! (2022年3月13日 10時) (レス) id: 70c717cb52 (このIDを非表示/違反報告)
一輝 - 更新早くして下さると嬉しいです楽しみに待っています (2021年1月2日 17時) (レス) id: 61bf71a8cd (このIDを非表示/違反報告)
雪菜 - 続きを楽しみにしています更新頑張ってください (2020年10月23日 22時) (レス) id: 61bf71a8cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なも | 作成日時:2020年8月29日 19時