トリップしてモビーになったら今度は人間になって愛された。【ONE PIECE】

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「ふふっ、」

「なに1人で笑ってんだよ」




いつの間にかエースが登ってきていて、ひょいっと見張り台に乗ると私の隣に立った。

私を見つめる彼にいつしかの海賊王が重なる。




「これから楽しくなりそうだなぁ、って思って」

「あったり前だ。俺らがいるんだからよ！」




目の前でニッと笑う彼を見ると心の底から浄化されるような気がする。彼は、エースは、私の...




「太陽みたいだね、エースは」

「俺が？まぁ、炎だしな！」




その答えにくすっと笑うと不貞腐れるエース。
そうじゃないんだけどな〜、と思いながらも今はそれでいいかと思い真意は言わないでおくことにする。




「私は、星でよかったんだけどな...」




ぼそっと呟いた私の言葉は彼には届かなかったようで。何も言わずにお酒を飲んでいる。

彼らを照らす無数にある存在の一つ。この世界に来る前の私はそういう存在になれればいいなと思ってここに来た。
でも、今は......




( 随分と、欲張りになったな )




これから巡り合うだろう大好きな彼らを頭に描きながらも、今は隣で笑う彼との会話に集中する。

黒い癖っ毛が風に揺れて、ふわりふわり。

私の長い髪も同じように宙に舞う。

好きだなぁ。
そう ぽつりと声を漏らして冷えたジュースで喉を潤す。




「ねぇ、エース」

「んぁ？」

「私 みんなの家族でよかった」




少し面食らった顔をしたけれど、すぐにニッと口角を上げて「俺も お前が家族でよかった」と声に出す。

この世界に来なかったら知らなかった奥深いみんなの愛。
言葉で理解するよりもっとちゃんと理解できたのは私がその中の1人になれたから。



うつらうつらと眠そうにする末っ子に、この世界の幸せを見た気がした。

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