君にオトギリソウの花束を【刀剣乱舞】【男主】 (ページ2)

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花を一本ページ2

俺の高校生の青春期がたった今終わろうとしている。

山田「うっ…A…お前とはもう会うことがなくなるんだな…っ」

『死ぬわけじゃねぇんだから、ほら、泣くなよ』

佐々木「だってよぉ…ｸﾞｽｯ…お前、審神者になっちまうんだろ…？次元が違ぇじゃんか…」

『現世には戻ってこれるらしいから、またこっち来たら遊ぼうな！』

そう、俺は審神者になる。そして今日は卒業式。多くの仲間がそれぞれ違う道に進むとき。さっきから泣いてるこいつらは、俺と特に仲が良かったクラスメイトだ。

この高校は地元じゃ有名な進学校で、俺みたいに高卒で就職っていう奴はあまりいない。

山田「でもすげぇよな！学校から推薦で審神者になるって！」

『はは…そうかな』

俺は大学に進みたかった…、あぁ、進みたかったとも…！だが選ばれてしまったのだ。審神者に。

基本、審神者になれるかどうかは検査と能力次第で決まる。

たまたま俺は霊力とやらが人より少し多く、そして少し澄んでいるため選ばれたらしい。

いいのか政府、少し人並みより上だからって。

佐々木「審神者ってさ、結構危ない仕事なんだろ。大丈夫なのかよ。今じゃ普通の、あーっとなんだったっけ、本丸？じゃなくてブラック本丸が増えてるとか聞くけど」

山田「そう、それ！それが俺一番心配でさー。連絡くれよ？生存確認！」

『なんだそれ、お前は俺の親か』

三人で笑いあうこの他愛のない会話が来年もあったらいいのに…と考える。

佐々木が言ったように、ブラック本丸が多々存在するこの業界で見習いとしてまず行く本丸がブラックな可能性が高い。普通の本丸ならばラッキー、という具合だ。

山田「ってことで、お前の第二ボタンちょーだい！」

佐々木「あっ、ずりーぞ！俺の第二ボタンあげるから我慢しろ、仇影のは俺がもらう！」

山田「お前のはいらねー！」

佐々木「酷くね？」

『俺もいらねー』

佐々木「おい、このやろう」

この箸が転んでもおかしい年頃を、ずっと維持していたい自分がいる。

あ、俺、審神者になるの嫌なのかな。

ブラック本丸はやだな。

卒業式を終えれば一時間後にはすぐに政府が迎えに来る。

この時の俺はまだ考えが甘かった。