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そっと声の聞こえる通路を覗いてみると、いつものバイトの制服ではなく、私服の彼女が店員らしき人と話していた。
「あ〜そうそう、内田さん。」
『あ、内田さんなんですけど、姉弟で声優なんですよ!!お姉さんは内田真礼さんって言ってですね、実はこのゲームに出てて、姉弟でこのゲームに出てるんですよ!すごいですよね!もう最高ですよね・・・って、あっ、仕事の邪魔ですよね!すみません・・・!』
「いや、大丈夫。Aちゃんは本当にその声優さんのことが好きだよね〜。」
『この日を楽しみにしてたの店長にはバレてますもんね・・・あはは・・・』
少し早くなった心臓の音は、自分の耳にもハッキリと聞こえる。
今、確かに、いつもの彼女の口から自分の名前が聞こえた。あと姉さん。
(知ってたってこと・・・?俺のことを?)
知っていたとしたらいつからだろう。もしかしたら最初から、「声優の内田雄馬」であることを知っていたのだろうか。
彼女の接客態度からはそんな感じ微塵も感じられなかったけれど。
どちらにせよ、ハッキリと自分の名前が聞こえて、動揺していた。
「困ることじゃないから大丈夫でしょ!邪魔してごめんね、はやく買っておうち帰りな!」
『ありがとうございます!失礼しますね!』
(え、こっち来る!?)
こちらへと向かってくる彼女。
俺に逃げ場はない。
彼女がこっちへ来てしまうまで、
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「あっ、」
『あ、すみません!・・・って、あっ!』
俺の顔をみて固まる彼女。
いたたまれなくなって、何も考えずにしゃべってしまった。
「本当に突然こんなことを聞いて申し訳ないんですけど・・・。俺の事誰だか、わかりますか?」
『あの!?えっと・・・!いつもご利用ありがとうございます。そ、その、内田悠馬さん・・・。』
客であり、声優の内田雄馬である。その二つがしっかりと知られていた。
頭はまだ状況把握しきれてないけど、
その事実になんだかちょっとホッとして、そして嬉しかった。
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南 - 雄馬くんが大好きなので読んでいてとても楽しかったです!続きを楽しみにしています! (2019年7月25日 1時) (レス) id: 36b3eb6f5b (このIDを非表示/違反報告)
ことぴ(プロフ) - 澪さん» 澪さん、コメントありがとうございます!まさかこの小説にコメントが頂けるなんて思ってもみなかったのでとても嬉しいです!今後ともよろしくお願いします! (2017年10月27日 0時) (レス) id: d1b7cf8df6 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 私も内田雄馬さん好きなので書いてくれてうれしいです!!内容も私的にはキュンキュンしました、ありがとうございます!続き楽しみにお待ちしてますね♪ (2017年10月26日 10時) (レス) id: bc7533a83c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことぴ | 作成日時:2017年10月10日 0時