File198 ページ31
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午後13:35。
諸伏の報告に降谷の声が弾んだ。
「そうか…止められたか!」
《萩原が、ね。とりあえず他に爆弾がないか今確認してもらってるよ》
「わかった、助かったよ景」
《そっちも大丈夫そう?》
「こっちの爆弾は松田が止めた。爆破犯も班長が確保して、捜一に身柄を渡したそうだ」
《良かった、それじゃあ…》
「あぁ…こっちだけだな」
松田も、伊達も、萩原も、諸伏も、あの米花公園で話した通り、成すべきことをやってくれた。
久しく感じていなかった、同期としての誇らしさが降谷の中に込み上げる。
あとは最後、自分の番だ。
《零…》
「問題ない」
このために数え切れない量の資料を読み漁り、拘置所に赴いては接触すら危険な人間に話を聞いた。
森本真江の殺害事件を含め、奴が関与したありとあらゆる事件を調べ尽くした。
忙しい日々の中で情報を、ピースを集め続けた。
その降谷の姿を1番近くで見ていた諸伏は、小さく笑って呟く。
《任せたよ、零》
「あぁ…そっちも引き続き頼む」
《了解》
2ヶ所の爆弾は止まり、爆破犯は確保された。
ここから先は公安の領域。
通話を切りながらコードを打ち続ける。
打鍵音だけが響く中Enterボタンを押下した時、一気に画面が変わった。
「!……入り込めた…?」
何度も挑戦しては弾かれていた領域。
氷室雄人が自ら作成したのか、そうでないのかは不明だが、今までの情報と照らし合わせると、あの爆弾に関するソフトで間違いない。
ずらりと並んであるフォルダのうち、自動で何度も更新されているものをクリックして開く。
大きな画面の大きな数字。
徐々に減っていく数字はミリ秒単位で刻まれていた。
「…残り時間、30分…!?爆破時間は14:05か…!!」
現時刻を確認し、瞬時にタイムリミットを割り出して舌を打つ。
何か手が打てる時間の余裕はあるとはいえ、新型の爆弾を相手にしていることに変わりはなく、何が起きるかわからない。
「止める方法は…っ」
遠隔による作動が可能であるならば停止も可能なはず。
それらしきものがないか徹底的に確認し、降谷が見つけたのはウィンドウの右端にある[解除]のボタン。
「よしっ…これで……!!」
タイマーが止まるか消えればこちらのもの。
未来への望みを抱いてボタンを押下した。
「…なっ……これは…っ!?」
新たに表示された画面に、降谷の目が見開かれる。
全くの予想外。
小さな新規画面に、血の気が引いた。
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七草(プロフ) - ふゆりぬさん» ふゆりぬ様はじめまして〜!当作品をご覧いただきありがとうございました…!楽しんでいただけましたら嬉しいです!お言葉に甘えて来年もやらかさせて(?)いただきます…! (2022年12月27日 20時) (レス) id: d39847a71a (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - 早桃さん» 早桃様!この度をお付き合いくださり、また数々のコメント本当に嬉しかったです!ありがとうございました! (2022年12月27日 20時) (レス) id: d39847a71a (このIDを非表示/違反報告)
ふゆりぬ - 鈍色編完結おめでとうございます!!松田くん推しなのでほんとにキュンキュンしながらとっても幸せな時間を過ごさせてもらいました。これで終わらなくてよかった、、じゃんじゃんやらかして下さい!笑これからも応援しています✨ (2022年12月26日 21時) (レス) @page50 id: b50b7f8ace (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - 鈍色編完結おめでとうございます!!思いを伝えられてよかった…😭何回もごめんなさい! (2022年12月26日 12時) (レス) @page49 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
七草(プロフ) - マシュマロ。さん» コメントありがとうございます!色々回収しました!(語彙力皆無) (2022年12月22日 22時) (レス) id: d39847a71a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七草 | 作成日時:2022年12月4日 0時