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【鈍色編小話】未来へ繋ぐ ページ15

※ File197の前



院内を隅々まで探り、ようやく見つけた爆弾は人が寄りつかない1階制御室の隅にあった。

それは中々の大きさをしており、仕掛け場所が病床から距離があるとはいえ、爆破すれば無傷では済まされない。

しかし、解体開始から数分後。

無駄なく動いていたその手が突然ぴたりと止まった。


「…こりゃあ参った…」
「萩原?」


手の甲を額に当て、苦々しく笑う萩原に諸伏が声をかける。

背後から覗き込めば、黒い液晶パネルはまだ時間を刻んだまま。
そして大分バラバラになった爆弾の真ん中から赤、青、黄のコードが顔を覗かせていた。


「残り3本…。
おそらく1本だけ起爆装置に繋がっていて、それを選んだらドカンだ」
「っ…」


最終処理の手前、厄介なトラップが2人を襲う。

3本のうち、ハズレはひとつ。
どれが繋がっているかは不明で、その謎を解明してからの解体は構造上不可能。

無機質な3色をじっと見つめてから、萩原は後ろへと視線を移した。


「諸伏ちゃん、どれが繋がってると思う?」
「オレが選ぶのか!?」
「ここまできたら後は運だぜ。
何もしないよりは…覚悟決めて飛び込んだ方がいいだろ?」


迷って爆破を待つよりもずっと意味のあるもの。
やらないよりはやる後悔。

どきりと肩が上がった諸伏に苦笑いを浮かべつつ、目を真剣味が一層増した色に変える。



「アクセル踏み込むしか、もう道はねぇ」



今更立ち止まる選択肢はない。
保身に走れば、彼らにも彼女にも顔向けできない。

危機にぶち当たったなら、乗り越えられるまでなんだってやる。
全ては守るべきもののために。

今までずっとそうしてきた。

過去の自分達ができていたことを、今の自分達ができないわけがない。


「っ…」


記憶よりもずっと大人になった顔の萩原に、ごくりと唾を飲む。

目の色を変えたのは諸伏も同じ。

優柔不断な弱さは過去に置いてきて、今はこんなにも警察官として動けるようになった。

ここで引き下がるわけにはいかないと、直感に従って色を口にする。



「……青、かな…」
「…そしたら赤か黄色だな…。よし…いくぜ」



爆破を回避するには繋がっている1本以外を切断しなければならない。

飛び出ているコードのうちの1色に、ゆっくりとペンチの刃をあてた。






パチンッ…






.

未来へ繋ぐ2→←氷解の先へ2



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作者名:七草 | 作成日時:2022年10月31日 21時

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