【刀剣乱舞】カミサマチガイ【大和守安定】 (ページ6)

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四話「二振一具の片割れ」ページ6

ずるずると引っ張られた先には、審神者の部屋とはまた違う、小さな部屋だった。その部屋には怨念は無く、あの呪いの類から解放された大和守はそっと立ち上がった。
彼をここまで連れてきた刀は、先程の緊張感とは打って変わってニコニコと笑っていた。
「さて、着いた。お疲れ様だね、浅葱色の羽織の…えっと、誰だっけ？」
「大和守安定。扱いは難しいけど…」
「嗚呼、弟から何となく聞いた事があるようなないような。…ここは過ごしにくいけれど、少しずつ慣れるといいよ」
「ありがとう、ところで貴方は？」
「…僕は髭切。源氏の重宝さ。これから宜しく頼むよ」

初めは話を途中で切られて少し不満げな大和守だったが、話していくうちに青年の優しさに惹かれ、段々と楽しそうな顔を見せるようになってきた。話すことはこんなに楽しかったのか、と感じながら。

「そういえば、君には兄弟はいるのかい？」
「うーん…。いるけどいない、みたいな…。僕みたいに人の形を取るのはまだ難しいみたいなんだ」
「そうか…。その子は弟かな？それとも兄だったりするのかな」
「あんまりわからないんだ。僕と同じ名前を持つ打刀がたくさんいてね。中には新政府の方の刀もいたけど…きっと僕とそっくりなんだろうな。あ、後冨田大和守安定って言う脇差が…」
「……兄弟が沢山いるのかぁ。僕には信じられないなぁ」
「えっと…、髭切にも兄弟がいるの？」
その問いかけに、彼はゆっくりと微笑んだ。

「ああ。僕達兄弟は二振一具…自慢の弟さ。昨日まではここにいたんだけどねぇ…一度何処かに行ってしまうと暫く戻ってこないからなぁ」
「……」
髭切の顔をまじまじと見る。何処と無く似た顔立ち、全く同じ瞳の色。昨日見たような…。
「もしかしたら…昨日会ったのって…」