奏 (ページ13)

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12話ページ13

「あれ？まだやるみたいだぞ？」

「なんで．．．？もう充分負けたでしょ？」

木虎は鼻から「三雲は勝てない」と言ってるようだった。まあ、誰しもそう考えるだろう。

風間さんと三雲が模擬戦し始めてから数十試合。風間さんが三雲のことを一方的に首飛ばしたり、首切ったり、トリオン供給器官破損させたりしていた。

「とりまる。三雲はカメレオンのこと知ってた？」

「いや．．．教えてない。」

「ふーん。」

とりまるの弟子．．．にしては確かに弱い。機動力も技術も何もかも足りてない。だけど、この短時間で風間さんの動きは追えてる。

「始まった。」

そうして、風間さんと三雲の模擬戦が再開された。

なんと三雲は低速散弾を訓練室中を埋めつくした。訓練室ではトリオン切れというのが無い。これで風間さんのカメレオンを封じることができる。

「考えたね。とりまるの弟子やるわね。」

「ああ。そうだな涼風。けど、風間さんはカメレオン無しでも強い。」

「そうね。」

風間さんは弾丸を叩き切って道を切り開いた。

シールドモードの三雲のレイガストが風間さんに向かう。

流石に風間さんもこれには驚いたようだ。

「へえ。面白いね。」

風間さんをレイガストで壁に押しやって封じ込めた。風間さんが小さいお陰だね。というのは心の中で黙っておく。

そして至近距離から通常弾(アステロイド)を打つ。煙が観客から決着を見させまいとしてるかのように隠してる。

風間さんの手からスコーピオンが出て、三雲の首を貫いていた。が、

トリオン漏出過多風間ダウン

「なあ、すずかぜせんぱい。」

「何。空閑。」

心底私はこの人の事が嫌いなんだろう。喋る一つひとつの音が不快だ。

「おれのこと嫌いなんだろ？ならおれと模擬戦しようぜ。戦ったらスッキリすることもあるぞ。」

確かに単に強いやつと戦うのは楽しい。大嫌いな近界民(ネイバー)を駆除するのは楽しい。でも、これは駆除じゃない。

「受ける。ただあんたが負けた時、言い訳されたくないからこっちは．．．」

私は息を飲んだ。

「あんたとは弧月1本で戦う。」

「へえ、弧月使いなのか。すずかぜ先輩。」

「いいのか？涼風。弧月だけなら空閑には勝てないぞ。」

訓練室から出てきた風間さんと息切れした三雲がこちらに向かってきた。

「いいんです。風間さん。」

風間さんの言う通り私は弧月だけではマスターギリ行かないぐらいの実力しかない。