第5話 ページ5
貴久side
酸素マスクの中から聞こえたか細い声に、一瞬、反応することが出来なかった。
手越は、その後、発作がおきて、体が大きく揺れている。俺は、看護師さんや主治医さんが手越の体を押さえつけている光景をただ呆然と見ることしか出来なかった。
その後、強制的に病室から出された俺は、扉の前にもたれて、ずるずると腰を下ろした。
手越はあの時、"だれ" といった。
冗談…だよな。
そ、うだよ。きっと、そう。
頭…を、打ったって、いってたから。
きっと、…一時的なやつだよ。うん。大丈夫。
言い聞かせた。
手越が目を開けてくれたことを喜ぼうと笑ってみせる。笑ってる。笑ってるはずなのに。
…頬を伝うものはなんなの？
あれから、しばらく時間が経った。
小山とシゲは、道が混んでいてまだ病院に着いていないらしい。
するとガラッとドアが開き、マネージャーが状況をくわしくきく、そして、言いにくそうに、目を伏せながら、俺に言った。
マ「増田さん…、手越さんのこと…聞きますか？…小山さん達が来てからにしますか？」
俺は、何も言わず首を左右に振る。
ただ、知りたかった。今の手越を。
マ「…わかりました。落ち着いて…聞いてください。手越さんは、今…。記憶喪失です。」
俺がさっきから、避け続けた答えが今、明らかになった。
マ「言葉や普通の生活などに支障はないらしいですが…、自分のこと、そして、今までのことも、全てリセットされた状態…だ、そうです。」
俺は、その話を静かに聞いて、前にあるドアを震える手でゆっくりと開ける。
そこには、
いつもの手越がいた。
なんだ。変わってないじゃん。ほら、嘘つかないでよ。手越は手越でしょ。そりゃあ、そうだよ。
安堵の息を出そうとする。
祐「僕は…、て、ごし？…ここは？…びょいん？…僕は、て…ご？」
カタカタの英語で先生が君は手越、と、ここは病院、と、一生懸命伝えていた。
貴「…てごし？」
俺は、確認するように。
君に聞こえる声で君の名前を呼ぶ。
ゆっくりこちらを向いて、君は機械のように声を出す。
祐「…てご、し。…だれ？」
首を傾けて聞いてくる君。
祐「…なん、で。…君は、泣いているの？」
あぁ、なんでだろうね。
俺もわからない。
悲しい？寂しい？悔しい？
ねぇ、手越。わかんないよ。
俺がしゃがみ込んだと同時に、
バタバタと後ろから足音が聞こえる。
はぁはぁと息切れをしながら、
小山とシゲが来た。
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orange72019(プロフ) - 更新心待ちにしてます！ (2020年4月12日 17時) (
レス) id: cdf058685f (このIDを非表示/違反報告)
増田兎羽(プロフ) - るかさん» はじめまして( ^^ )ありがとうございます!!私もこの設定好きなんです笑.更新がんばりますっ。これからもよろしくお願い致します!! (2019年1月13日 21時) (レス) id: c960b1a518 (このIDを非表示/違反報告)
るか(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します！いつも作品楽しく読ませていただいています。今回の作品めちゃくちゃ好きな設定でテンション上がりました！笑. 大変だとは思いますが更新頑張ってください。応援しています！ (2019年1月13日 10時) (レス) id: 6bd7c49b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：増田兎羽 | 作成日時：2019年1月13日 0時
