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結局降谷さんも夕飯づくりに参加してきて、いつもは聖さんと囲むテーブルを降谷さんと囲む。
「ん、おいしいな」
『やっぱり隠し味は味噌ですね』
「覚えていたか」
『学生の頃の私たち、それで喧嘩していたじゃないですか』
「ふふ、懐かしいな」
ズズッと音を立てて味噌汁をすすると、お椀を傾けた先に降谷さんの目が見えた。
『…何見てるんですか』
「やっぱり音、立てるんだなって」
『食べ物への感謝ですよ』
「そこは俺たち2人の意見が合ってたよな」
『えぇ』
「君は、あの頃に戻りたいと思うか」
『…』
ご馳走様 とお箸を置いて視線を逸らす。
『…どうでしょうね』
「俺は、アイツらと一緒に居た時間は楽しかった。でも、戻りたいとは思わない」
『…』
「今は君と一緒に日本を守っているからだ」
『…』
「今の僕にとっては今が一番幸せだ」
安室じゃない
降谷さんの素の笑顔に、胸の奥の方が トクン と音を立てた。
それから 片付けは僕がやる と聞かず、その間に入浴を澄ませ
降谷さんが入っている間に寝る場所の準備をした。
「風呂、抜いてよかったか?」
『助かります』
「掃除しておいた」
『え、そこまでしてくれたんですか?』
わー、仕事が早い。
『寝る場所なんですが、降谷さんの布団敷いたのでこっちの部屋でいいですか?』
「あぁ」
『ベッドをお貸ししようと思ったんですけど、さすがにプライーべとの場所は…』
「僕も今はそこまで踏み込まないよ」
『足りないものがあったら言ってください』
「…あぁ。もう少し起きてるか?」
『明日は休みなので。降谷さんはポアロですか?』
「明日は1日シフトだな」
『…休みあります?』
「心配してくれてるのか?」
『しますよそりゃ。むしろ、もうすぐ三十路なのによくそんなハードな人生を送れますね』
「この国を守れるなら、なんてことないさ」
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作者名:エナガ | 作成日時:2018年10月31日 20時