12 ページ12
「牟呂、田中。ちょっと来てくれ」
降谷さんに呼ばれて会議室へ行くと、配られた資料に目を通す。
『潜入捜査、ですか?』
「明日から2人にはある組織に潜入してもらう」
「僕と牟呂の2人ですか?」
「あぁ。僕が行こうと考えたが、ほかの案件があって手が離せない」
『田中さんは潜入捜査に慣れているそうですね。ご迷惑にならないように心がけます』
「大切なのは報・連・相だ。がんばろうな」
「場所は横浜だ。僕への連絡も怠るな」
「『わかりました』」
「君たちが新人だな」
「初めまして。森です」
『長野と申します』
潜入中、田中さんは“森”、私は“長野”と名乗ることになった。
「この仕事は楽じゃねぇぞ。それでもいいんだな?」
「えぇ。仕事内容は聞いています。僕も彼女も理解したうえで来ていますから」
『もちろん』
「…おい。こいつらに施設の説明でもして来い」
「はい」
こっちだ。 と、命令を受けた部下が私たちを連れて施設を案内する。
「女。ここがお前の部屋だ」
『長野です。…へぇ、意外と広いんですね』
「“家と同じ空間で”というのがモットーだからな」
『なるほど』
案内された部屋は、どこにでもありそうなホテルと同じ作りの部屋。
「お前にはここで客を取ってもらう。飽きさせて客を減らすなよ」
『まさかカメラとかついていないでしょうね』
「さすがにつけねぇよ。気になって出来ねぇだろ」
『それは助かるわ』
「じゃあ、森。お前はこっちへ来い」
「はい。じゃあな、長野」
『えぇ』
パタン と閉じられた扉に鍵をかけ、室内を物色する。
5人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:エナガ | 作成日時:2018年10月31日 20時