裏切りのお酒2 (ページ2)

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電話を切って降谷さんのもとへ戻ると、なぜか怒ったような顔をしている。

『どうしました？』

「こんな状況で婚約者に連絡とは」

『…いけませんでした？』

「…」

あれ、口とがらせてる。

『それより、電気。全然つきませんけど』

「脱出出来たら警備と情報センターに指導しなければならないな」

寒くなってきてその場にしゃがみ、腕をさする。

すると、肩のあたりがあったかくなり、降谷さんの香りに包まれる。

「肩から掛けておけ」

それは降谷さんのジャケットであり、横に座る降谷さんはYシャツ姿。

『何考えてるんですか、風邪ひきます！』

肩から外して降谷さんにかけるが拒まれた。

『…じゃあ、こうしましょう』

降谷さんのすぐ横に座り、お互いの膝にジャケットをかけた。

『これで2人ともあったかいですね』

「…」

腕をさすりながら、どうするか考えていると

「こっちのほうがあったかいだろ」

と、一度立ち上がり私の後ろに腰を下ろした。

私を足の間に挟み、抱えるように腕を回す降谷さん。

『ちょっ…』

抜け出そうとすると再び触れだす地面。

気づけば降谷さんの腕にしがみついていた。

「大丈夫か？」

『…面目ない』

「気にするな」

そのまま降谷さんの腕に力がこもり、降谷さんの胸が私の背中に当たる。

…あったかい。

肩に降谷さんの顎が乗り、同じスピードで呼吸を繰り返す。

それからどのくらい時間がたっただろう。

誰かが扉をたたく音がした。

？「降谷さん！いらっしゃいますか？」

「風見か？」

「やっぱり！今開けますね！」

部下の風見さんが駆けつけてくれたらしい。

「立てるか？」

『うん』

差し出された手を頼りに立ち上がり、風見さんによって開けられた扉から脱出した。