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窓に近寄り下を見ると、夕方であるにもかかわらず街の明かりは半数が消えている。
『停電』
「ここは今のところ大丈夫だr」
そういった瞬間、バチっと音を立てて電気が消えた。
『え、大丈夫なんじゃないんですか?』
「…すぐ自家発電に切り替わる」
『…それまではスマホを頼るしかないですね』
「充電見ておけよ。いざというときに使えるようにな」
『了解。ていうか、ここから出ましょう。皆さんと合流しないと』
「そうだな」
ドアノブに手を伸ばし、いつも通り回すが、
『え、開かない?』
「何を言っている。そんなわけにだろう」
『だって、ほら』
降谷さんに場所を譲り試みるが開かない。
「そうか、自動施錠されたのか」
『え、え、なんて?』
「停電した時に自動的に施錠されるようになっているんだ。すべての扉がな」
『…』
「つまり、僕たちは閉じ込められたんだ」
『何を決め顔してるんですか』
「もともとこういう顔だ」
さて、どうしたもんか と腕を組む降谷さん。
ぶるっと体が震えた。
そういえば、季節は冬だ。
この調子じゃ電気の復旧は難しそうだし、ということは暖房もない。
「…」
とりあえず、聖さんに連絡をしておくか。
考え事をしている降谷さんから離れ、聖さんに連絡を入れる。
「“もしもし”」
『“聖さん、Aです”』
「“地震大丈夫か?”」
『“何とか。でも部屋に閉じ込められてしまって…”』
「“え、大丈夫じゃないだろ”」
『“すぐ復旧してくれると思うので”』
「“電車も止まってるし、車で迎えに行こうか?”」
『“大丈夫ですよ、もともと今日はこちらに泊まる予定でしたから”』
「“そう?無理するなよ”」
『“はい”』
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作者名:エナガ | 作成日時:2018年10月31日 20時