れんげ (ページ2)

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すぐ側にある末期 ② ページ2

「れんげちゃーん。起きて。
菊ちゃんが来てくれてるよ。」

聞こえる声にうっすら目を開けて応える。

午前中の記憶とそれから今までの記憶が
途切れていることから、

知らない間にもう一度
寝てしまっていたのだと実感する。

体を起こして振り向くと
学校終わりであろう制服姿の菊がいた。

「18時で対面時間は終わりだから、
あと2時間ね。」

「分かりました！」

そう言うと、菊は近くの椅子に
スクールバッグと自身の腰を下ろした。

「今日は早いね。いつも5時くらいなのに。」

「テスト期間に入ったから部活は休みなんだよ。」

「え。それだったら早く帰って勉強した方が…」

「いいの、いいの。
勉強してもしなくても低いからさ、
あはは。」

高校の授業内容は難しくて、
菊が言うには復習と予習がかかせないんだと。

勉強嫌いな菊からすれば重労働だろう。

「テスト近いからだったんだね。
最近、菊元気なかったからさ」

「うーん…、そうでもないけど、」

1週間程前から菊はいつもより疲れているように
見えていた。

本人は否定しているけど、
テスト以外に理由が見当たらない。

そういえば、私にも最近変化があった。

今日みたいに、1日の半分を睡眠に費やしてしまうこと。

入院したばかりの時はそんなことなかったのに、
気付けば意識が遠のいている。

そこまで気にはしていないのだけれど。

沈黙の時間が続いていると、菊が先に口を開いた。

「れんげはさ、このまま退院できなかったら嫌？」

「うん。」

「そっか…、…ごめんね。」

どうして菊が謝るのかが分からなかった。

退院できないことくらい、私は知ってる。

けど、菊には話していない。

疑問ばかり浮かぶ頭上と視界に
うっすらと白いフィルターが覆い被さってきた。

瞼が重くなって、支えきれなくなった瞬間、

「さよなら。」と聞こえた気がした。