【ヴィランズ手下】深海の唄 part,2【エイトフット】

con ページ32

｢………はっ｣


目が覚めた


目が覚めたと言うことで私が今まで寝ていたということに気がつく


直前まで何か夢を見ていたような気がする


覚めた瞬間にほぼ記憶から消えてしまったらしい


ただ 海の中らしい場所に自分と誰かがいたと言うことはうっすらと残っていた


｢誰だったんだろう…ジョーだったりして｣


ゆっくり伸びをしながら微かに暗くなった空を見つめ…


…ん？暗く？


｢日が沈みかけてる！？つか寒っ！？｣


どうやら目覚めた直後で体も頭も正常に機能していなかったようだ


そして寒いと認識すればさらに寒くなるわけで…


｢うわあ…これは本格的に風邪引く…
ジョーには悪いけど今日は帰ろう…｣


｢なんだよ 唄ってくんねぇのか｣


｢…は…？｣


今 誰かの声が聞こえたような


…けど 誰もいない…


｢幻聴…？｣


｢ひっでぇ …上だ上｣


いつかの時のやり取りを思い出した


そう これは あの人と初めて話したときだ


そっと後ろを振り向く


｢……ジョー…？｣


｢おう 俺だ｣


あの時の光景と重なり合った


そこにいるのは 確かにジョーだ


彼はひらりと地面に降りた


｢仕事でよ 当分陸にいなきゃならなくなった｣


私は泣きそうな気持ちを抑えて聞いた


｢拠点も宛がなくてな…そこで考えた｣


近づいて私の目を優しく見つめる


｢…お前のとこ 居ていいか？｣


紡がれた言葉は 私の心にふわりと染み込んだ


｢……うん…！！｣


言葉と同時に雫が零れた


そして


私と彼は 優しくて 静かで 甘いキスをした


2人のペンダントが カラン と音をたてた

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