【ヴィランズ手下】深海の唄【エイトフット】

タコが47匹 ページ49

「で、やりたいことは終わったのか？」


「うん、終わったよ」


「じゃあ…行くか…」


「あ…待って!!」


もっと彼といたいから


その気持ちが強くて帰るのを拒否する


いつも一緒にいるはずなのに、なんでだろう


「近くに綺麗な公園があるの！行きたいんだけどいい？」


「ん？いいぞ」


よかった やだとか言われたらどうしようかと


ともかくその公園に向かう事にした


…


「やっぱり好きだなーここ」


自然が多くて広々としたこの公園は小さい頃によく遊びに来た


「へーぇ いいとこじゃねーか」


「でしょ？ …あっ」


1羽のすずめが飛んできた


手を差し出すとすずめはちょこんと乗ってきた


…何故かここの鳥たちは人間を警戒せず、むしろ好意をもっているように近づいてくる


子供の時もこうして触れ合ったなぁ


「ねぇ！この子すごく可愛いよ！」


振り向いてジョーに話しかける


…しかしジョーは私を見つめたまま黙っている


「…ジョー？」


「あ…？…ああ、すまん ぼーっとしてた」


ジョーがぼーっとするなんて珍しいな


「何？考え事？」


「いや、そういうわけじゃねぇ」


「じゃあ何？」


「…い、言わねぇ」


「えー…」


ちょっと気になるけど 言いたくないならいいか


すずめは私に頬ずりをして飛び去っていった


「そろそろ行こうか」


「…おう」


歩きだそうとした時


「…ん？」


ふと後ろから ほんの少しだけ視線を感じた


振り向いても誰もいない


「どうした？」


「…ううん 何でもない！」


そっか まだ油断はできないんだね


…でも 彼とのこんな時間が続くなら…


なんて思ってしまう


きっと


そういうわけにはいかないんだよね

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