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第3首 ページ4

4月某日。

入学式から1週間あまり。私はとあるかるた会主催の大会に参加するため、公民館に訪れていた。
小規模な大会ながら実力者が揃うこの大会は、私にとって毎年恒例の行事だった。

『あれって、周防久志の…』
『今年も出るんだ』
『当たりたくねー』

会場に入るとすぐに、方々からそんな声が聞こえるが気にせず、受付に向かう。

「A級、在原Aです」
『こちらに名前をお書きください』

参加者名簿に名前を記し、対戦組み合わせのカードを受け取ってから控え室に行く。

『やあ、Aちゃんじゃないか』
「原田先生。ご無沙汰です」

控え室を陣取っていたのは、府中白波会の原田先生。私が小学生の頃から知り合いだ。

『Aちゃんはかるた会には所属しないの?』
「ええ、まぁ。師匠の所で当分は」

背負っていたリュックサックを下ろしながら1言2言会話を交わす。

「そういえば今日、綾瀬先輩って出ますか?」
『ん?千早ちゃんは、今日は観戦だよ。この間、右手首を少し痛めたみたいでね』

府中白波会に所属する、綾瀬先輩。
瑞沢の卒業生でもあり、圧倒的な“感じ”の良さで有名だ。

出ないのか、と肩を落とすと

『私がいるじゃないか!今日は存分にやりあおうじゃないか』

原田先生が、自信ありげに言う。

「まずは決勝まで頑張ります」
『それじゃあ、決勝で待っているよ!』

座布団を持って原田先生は、部屋を出て行く。決勝で、ってその自信、一体どこから来るんだろう。

先程自販機で買ったばかりのミネラルウォーターを口に含んで、対戦の組み合わせを確認する。

1回戦の相手はA級、佐藤香奈さん。

試合の流れをイメージしてみる。
先生のような。流れるような、かるたを…

『出場選手は、大広間に集合してください。まもなく、開会式です』

どれくらいそうしていたのか分からない。
係員の人の声で気がついた。

急いでペットボトルをリュックサックに突っ込んで部屋を出る。

歩きながら髪をゴムで結わいて、視覚と聴覚をスッキリさせる。

よし、と呟いて大広間に向かった。

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設定タグ:ちはやふる , 綿谷新 , だいすけ   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:だいすけ x他1人 | 作成日時:2018年1月14日 23時

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