9話 ページ11
「…まだかなぁ。」
あの後、車を出させるから入り口で待ってろと中也さんに云われたため、優弥と二人で待っているのだけれど…
「大丈夫?」
「…う…ん」
優弥がもう限界みたいだった。
先刻から目をしょぼしょぼさせて、口数も少ない。まぁ、もう日を跨いでいるのだから当たり前だ。
足元もおぼつかなくなっている優弥を、抱き抱えようとすると、エンジン音と共に、如何にも高そうな車が目に入った。
車は目の前に止まり、出てきた運転手の方に促される儘後部座席に乗り込んだ。
「お、優弥はお眠かァ?」
「はい。もう立ってるのも辛そうで…」
幸い車内には優弥を寝かせる程の空間はあった。
私は中也さんの隣に座り、優弥の頭を膝に乗せて、寝かせた。
「よし、出ろ。」
中也さんの指示でエンジンがかかり、ゆっくりと前進しながら、道路に乗った。
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車は海の見える道路に出て、中也さんの後ろの窓には月光を反射して輝く黒い海が顔を覗かせる。
優弥は車の規則的な振動のおかげか、割りとすぐに眠りに落ちた。
中也さんも優弥が寝たのを確認して、運転手さんと明日の移動について、話を始める。
私は暇をもて余して、車窓から街の光を眺めていると、何処か幻想的な気分になって、自分の意思とは関係無しに首が上下するのを感じていた。
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作者名:睡蓮 | 作成日時:2018年6月24日 16時