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試合終了 ページ12

「先輩、もう話さないでください。血も出るし、痛みだって・・・」

「うん。悪い・・・」

「もう!止血と鎮痛に集中して下さい」

困ったような笑顔で頷いて、ベッドに横になってくれた。

横になった先輩に、フェイスタオルを細長く畳んで目元が隠れるようにかけた。

こういう時、他の刺激が邪魔だったから。
交通事故後の病院で痛みに耐えている時、光の刺激や人の話し声、気配に敏感になって凄く疲れたから。
思い出す。

少しでも楽になって欲しい。
澤村先輩はそのままゆっくりと呼吸してる。
本当は焦るし痛いし悔しいに決まってるのに、さすがメンタル強いな。



試合の途中経過を谷っちゃんから聞く。

2セット目取られたか・・・。
でもみんな主将の不在というアクシデントに負けてない。
大丈夫だ。
絶対に大丈夫。

澤村先輩にも簡潔に状況説明する。
口元ちょっと笑った。


それから数十分後、出血と痛みが治まったようなので、先生に診察してもらい、試合出場の許可を得ることが出来た。



3セット目を体育館のドア脇で澤村先輩と見学する。

主将不在で、もっとガチガチになったり、ふわふわぐだぐだになっちゃうかもって思ったけど、チームとしてガッチリ噛み合ってると思う。

谷っちゃんと一緒に澤村先輩の様子を伺う。

「どうしますか、試合戻らないで観て行きます?」

「ああ、そうだな・・・このままで」

ちょっと嬉しそうな先輩。
後輩の頼もしい姿を・・・私が翔陽をみて感動するのと一緒かな?
なんて言うか、澤村先輩貫禄あるからお父さんみたい。
烏野のお父さん。

烏野のお母さんは、菅原先輩だ。



結局、体育館ドア脇で試合終了まで観る。
そして勝利を3人でハイタッチして祝う。


「大地さん・・・!」


主将の姿に気がついた田中先輩が声をかける。

「あーえっとすまん!」

田中先輩の表情がグシャッとなるけど、澤村先輩は最後まで言わせない。

うん。
そう言うとこもカッコいいです。
普段通り。
澤村先輩は縁下先輩と話し始める。
田中先輩落ち込んでない。
後輩への態度、ちゃんとわかってる。
主将カッコイイです。

影山、翔陽とハイタッチ。

「勝った!!また試合が出来るね!」

「おお!」

「次も勝つ!」

「山口もお疲れ!」

ハイタッチしようとしたけど、あれ、様子が違う。

「あ、うん・・・」

「どうしたの?」

声をかけるけど、俯いてる。
らしくない。
試合中に何かあったのかな。

大丈夫って言った→←澤村先輩



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作品ジャンル:恋愛
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作者名:球技大会 | 作成日時:2020年2月5日 23時

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