雄英高校キラキラ光る (ページ29)

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明るい太陽ページ29

そう、自分が1番嫌いだった。
バレてる。
小さく頷くと、私を抱きしめるオールマイトの力が強くなる。

どうして彼が傷付くのか。

「結局抗争と摘発によって組織は無くなりましたけど、自分だけ壊し損ねました。それでまぁ、保護されて改心してここに至る・・・と言うわけです」

最後は軽く済ませた。
こんな話面白くないし。

オ「・・・」

「夜の海は怖いですね。真っ暗で。波の音も不気味です。あの海の中に何が蠢いているんでしょう・・・まるで私ですよ」

今もあの暗い感情は私の中にある。

オ「そうか・・・あの海は君か・・・ねえ、もう少しだよ」

オールマイトが優しく言う。
もう少し？

「何がですか？」

オ「・・・日の出だ」

「え？」

じっと水平線を見ていると、空の色が変わっていく。
星の光が薄くなり、朝焼けが広がっていく。
空の色がどんどん変化していく。

「わぁっ・・・」

不気味さは消えて、美しく光り輝く水平線。
波に光がキラキラと反射している。

太陽が昇る。

オ「夜の海も、朝日に照らされた海も君だ」

「オールマイト・・・」

オ「両面を知る君は素敵な先生になれるよ」

あまりに美しい景色。
綺麗で優しい。
オールマイトも温かい。
私ばかりがこんな幸せになって良いのかな。

涙が流れた。

オールマイトはどんな顔でこの景色を見ているんだろう。
振り返ると、彼は私を見ていた。
透き通った青い瞳は朝日よりも綺麗すぎて・・・。

「景色・・・ちゃんと見てました？」

オ「君を見ていた。きっと笑顔だろうなと想像して。やっぱり笑顔だった。嬉しいよ」

私笑顔だった？
泣いてるのに・・・。
大きな手が流れた涙を拭ってくれた。
心臓が痛い。
何だこれは。
オールマイトの笑顔を見ていられなくて、急いで海を見る。

これは、この瞳は危険だ。
吸い込まれてしまう。

オ「私が美しいと思ったこの景色を、君にも見せたかったんだ。元気になってほしくて。タイミングよく励ます事も出来てラッキーだったかな」

・・・どうしよう、嬉しい。
私が暗闇の海なら、オールマイトは太陽だ。
こんなどす黒い不気味なモノさえ照らしてくれて、美しいと思えてしまう。
明るい太陽。
この光を・・・ずっと見ていたい。
どうか・・・この光がまだ消えませんように。

「ありがとうございます。オールマイト先生・・・」

無言で海を眺める。
抱きしめられたまま・・・。

こうしていたい。
この人の体温をずっと・・・。