女神 ページ5
〜次の日 朝〜
「おいお前」
朝から無愛想野郎の声がする。
気にせずスマホゲーム中。
「おい、ち、千景！」
「！？」
突然自分の名を呼ばれて驚く。
「何か用？」
「お前、マネージャーやれ」
「は？」
「経験者だし。ちょうど良いから今日の放課後見学に来い」
「部活入らないって言ったの聞いてた？」
隣で立ってるから、見下される感じで、ムカついたので私も立ち上がる。
180対170。
「ちょっと千景！落ち着いて！あの、影山君！お客様です」
なっちゃんが走ってやってきた。
「客？誰？」
「あのね、すっっっごい美人の先輩！」
「なんだ！告白か！？」
私は影山が立ち去ったので、席に着いた。
もうバスケは・・・出来ない。
もやもやしてきたので、ゲームを再開してたら、戻ってきた影山が私の腕を掴んだ。
「え？何？」
「ちょっと付き合え」
グイッと引っ張られて廊下へ連れていかれる。
コイツ力強すぎ。
そして思い出してしまう。
中学3年の冬。
『俺の事好きなんだろ？』
『分かってて付いて来たくせに！』
あの時の恐怖。
「っ！！」
乱暴に影山の腕を振り払う。
驚いた影山と目が合うけど、すぐに逸らした。
「腕、離してってば。ちゃんと・・・行くから」
強く掴んだからと、勘違いしたみたいだ。
「あ、悪い」
と素っ気ない謝罪の声が聞こえた。
あの時を思い出してしまい心臓がドキドキして背筋がゾッとして、気分が悪い。
まだ思い出すとか、いつまでこんな状態なんだろう。
悟られないように影山の後を歩いて行くと。
「うっわぁ〜」
サラサラの黒髪、睫毛長い。
スタイルも良くて、とにかく凄い美人な先輩が待っていた。
ホクロがセクシーです！
「私3年の清水潔子。千景さん、いきなりごめんね。帰宅部って言ってたでしょ？・・・マネージャーって興味ないかな？」
こんな美人さんが私に何か話してる。集中出来ない。マネージャーの勧誘かな？
こんな美人さんがいるのに、私必要ないでしょ？
わあ〜髪を耳にかける仕草最高！
「でね、今日の放課後、見学だけでも来てみない？」
小首を傾げてる！！！
胸を撃ち抜かれた！！
「はい。行きます！」
隣で影山が驚いてたけど、もうお前なんかどうでもいい。
清水先輩は嬉しそうに笑うとじゃあまた放課後ね。
と言って小走りで駆けて行った。
女神がいる。
思わずその場にしゃがみ込んで、この感動を噛み締めた。
「何だよ急に。お前キモチ悪いな・・・」
「うるせえ影山、黙ってろ！」
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作者名：球技大会 | 作成日時：2019年9月9日 19時
