はち ページ8
「次は俺の番だな。
一つ目は、…異性によく絡まれる」
「それはあんただけでしょ」
「いや、雨宮もたびたび男子に噂されてる」
その言葉に心底驚いたような顔をする。
俺にとっては、好きな女が男にもてはやされてるのは、かなり癪に障る。
「普通に話しかけてくれりゃいいのに」
「別に、来ても迷惑なだけだろ」
「そんなスタンスだから高嶺の花になっちゃうんだよ？」
そんなこと言われたって、俺が求めてるのはたった一人だけなんだから仕方ないだろ。
浮かんできた文句は心の奥にしまい、俺は最後の二つを言い切った。
「あとは、初志貫徹。やると決めたら途中で投げ出さない」
すると、雨宮はぽかんと口を開けて面食らう。
「どうした？」
「え、いや…そこまで見られてると思わなくて…」
「だから、この手の話題はよく男子たちが話して」
「待って私そんな話されてんの？」
少し顔を赤く染めた雨宮は、ゴツン、と少し痛そうな音を立てて机に突っ伏した。
恥ずかしい、と言わんばかりに顔を手で覆って、見れば少しだけうなじに汗がにじんでいた。
「消えてなくなりたい…」
「雨宮」
名前を呼べば、彼女はゆっくりと首だけをこちらに向ける。
そんな彼女の赤く染まった顔が、どうしようもなく愛おしく見えて、零れる笑みを押さえることなく、手を伸ばして頭を撫でた。柔らかい髪。少し熱を帯びた体。
「っ…子ども扱いすんな馬鹿」
少し睨みつけられながら、俺の手は振りほどかれて、雨宮は身体を起こしてスマホに目を見やりながら、俺に早く読めと促した。
「人生で最も感謝していること、人や物はなにか」
「人生でって、まだ人生の半分も生きてないんですけど」
「俺は、…さっき言ったコラさんだ。あの人のおかげで、今の俺がいると言っても過言じゃない」
「へぇー」
コラさんのことを考えると、無意識に笑みが零れてくる。
今もきっと、どこかでドジを踏んで、誰かの世話になっているんだろうか。
すると視界の隅で動いた何かが、おもむろに、俺の頭の上に乗せられる。
動揺を隠しきれなかった。
雨宮に、頭を撫でられた。ただ手を乗せただけだが。
彼女の顔を見つめると、やけに優しい顔をしていて、どくん、と胸が高鳴る。
小さい癖に無理をして俺の頭の上に手を伸ばしている所為で、制服の隙間から見えそうになっている。
少しずれたインナーから、黒い紐が見えて、
我に返った俺は、慌てて彼女の手を振り払った。
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もち - にやにやとどきどきとほっこりが止まりません！イッキ読みしました！！ありがとうございます！ (2021年5月31日 4時) (
レス) id: 7417fbe2bd (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - 天然水さん» ありがとうございます〜！めちゃくちゃ嬉しいです！！ (2021年4月7日 19時) (レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
天然水(プロフ) - とても素敵な作品で前作から読んでます＾＾ 素敵な作品有難う御座いますっ！ (2021年4月6日 0時) (レス) id: 5091cdfe04 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - マリンさん» ありがとうございます！その言葉のおかげで頑張れます！！ (2021年4月4日 21時) (レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - 楽しみに待ってました！！弥生さんの作品全部読ませてもらいました。好みどストライクで、最近の生きがいです（笑）これからも無理ない程度に頑張ってください！ (2021年4月2日 23時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2021年4月2日 15時
