しち ページ7
「8、自分と相手の共通点を三つあげてください」
共通点。
雨宮のいい所なんて山ほど挙げられる。でも自分との共通点なんて、思いつかない。
うーん、と悩みながらも、雨宮は口を開く。
「えっと…取り合えず17歳」
「残念、俺はまだ16だ」
「うっそ。誕生日いつ」
「10月6日」
誕生日なんて、教える機会もなかった。
自分から教えてしまえばそれは、祝ってほしいと言っているようなものだ。
俺も雨宮の誕生日を知らない。
鼻を鳴らして返事をした雨宮は、もう一度深く考え込む。
「えぇ…、じゃあ高校生」
「せこいぞ」
「なんとでも言え。えーっと……図書委員」
「お前、姑息な手ばっか使うな」
「あーあーあー、聞こえないー」
両手で耳を塞いで俺の声を聴こうとしない。
じろっと睨みつけると、わざとらしく目を逸らした。
「仕方ないでしょ。あんたが完璧すぎて共通点が見つけらんないの」
「そうか？ 俺は雨宮の方が良い所を持ってると思う」
「それまじで言ってる？」
雨宮はいきなり、机に突っ伏していた体をバッと起こした。
びっくりして目を見開く。それと同時に雨宮の面食らった顔が目に入る。
あまりにわかりやすい反応に、口許が緩んでしまって、思わず笑みが零れた。
「あぁ、自分にもあればよかったのにと思うこともあるが、多分それは俺が持っててもあまり良いものにはならねぇだろうな」
「身に覚えがないんだけど」
「誰にでも、分け隔てなく笑えるところとか」
「確かにトラファルガー不愛想だもんね」
「そりゃどーも」
褒められて恥ずかしいのか、雨宮は照れくさそうに窓の方に目線を移した。
外から涼しい風が吹き込む。まだ熱さの残る図書室。隣にいる彼女の所為で、いつも以上に上がる体温を、そよ風が少しだけ冷ます。
遠くから聞こえる吹奏楽部の演奏。
クラシックのコンサートをよく見に行くという彼女の耳には、どう聞こえているんだろう。芸術に明るくない俺にはよくわからないが。
「三つめは、んー…よく本を読む」
「…まぁ、及第点だな」
「むっかつく…」
口の端を釣り上げて笑って見せると、雨宮は不機嫌に唇を曲げて俺を睨みつけてきた。
そんな顔されたって、可愛くしか見えない。
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もち - にやにやとどきどきとほっこりが止まりません！イッキ読みしました！！ありがとうございます！ (2021年5月31日 4時) (
レス) id: 7417fbe2bd (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - 天然水さん» ありがとうございます〜！めちゃくちゃ嬉しいです！！ (2021年4月7日 19時) (レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
天然水(プロフ) - とても素敵な作品で前作から読んでます＾＾ 素敵な作品有難う御座いますっ！ (2021年4月6日 0時) (レス) id: 5091cdfe04 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - マリンさん» ありがとうございます！その言葉のおかげで頑張れます！！ (2021年4月4日 21時) (レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - 楽しみに待ってました！！弥生さんの作品全部読ませてもらいました。好みどストライクで、最近の生きがいです（笑）これからも無理ない程度に頑張ってください！ (2021年4月2日 23時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2021年4月2日 15時
