さんじゅういち ページ31
「俺は、周りとあまり上手くいってないらしい。雨宮みたいにくだらない話をしてくれる友人が片手で数えられるくらいしかいねぇんだよ。
もう少し取っつきやすい印象を持ってもらいたいんだが」
自分の個人的な問題。
分け隔てのない、友人の多い雨宮からすれば、問題とも思えないだろうけど。
「うーん……顔と頭が良すぎるからなのかも」
「はぁ…？」
「さっきだって直接来られたら迷惑だって言ってたじゃん。
たぶん、そのせいで高嶺の花になっちゃってるんだよ。なんか、遠い存在って感じ」
「…そういうモンか」
「うん。ホントは私だってあんたとこんなに仲良くなったの不思議なくらい。二年になってからクラスだって離れたし、接点なんて木曜の当番しかないし。
なにより周りの女子の視線が怖い」
「雨宮に嫉妬するくらいなら自分で行動を起こせばいいのに」
「あんたが来るなって言ったんじゃん」
…確かにそうだ。
結局自分のせいだってことなのか。
「アドバイスは？」
「アドバイスね…、なんかトラファルガーって、よく知らない人のこと警戒してばっかりじゃん。緊張、とはちょっと違うけど、信用してないっていうか、常に疑ってる、みたいな」
「そう、なのか？」
「私が見た限りではね。自分に近づくことで何か利益を得ようとしてるんだって、多分小さい頃の経験のせいかもしれないけど、そういう風に思っちゃってるんじゃないかな。
だから、せめて、その人のいい所、何か一つでも探してみるとか。
私の時だってそうだったんでしょ？ そりゃあからさまに媚び売ってくる人は関わらなくていいと思うけど。
でもまぁそんな簡単に変われないと思うから、無理そうなら、無理矢理にでも自分を引っ張ってくれるような人探せばいいんじゃないかな。いい意味で自由な人とか、あとは世話し甲斐がある人とか」
だめかな、と雨宮は俺の様子をうかがう。
「言いたいことはわかるが、結局俺はクラスの奴らとお前や友人たちのような関係にはなれないってことか？」
「どうしても変わりたいなら根本的に考え方とかを変えなきゃいけないよ。でもそれだとなんか、トラファルガーっぽくなくて私がやだな。…ごめん、なんか私の我儘みたいで。
でも、別に私とか今の友達が、くだらない話できる人ってだけでいいと思うよ」
これじゃダメ？ と不安そうに尋ねてくる雨宮。
俺にとって、その言葉がどれほど俺を救ったかなんて、こいつはわかってないんだろうな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もち - にやにやとどきどきとほっこりが止まりません！イッキ読みしました！！ありがとうございます！ (2021年5月31日 4時) (
レス) id: 7417fbe2bd (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - 天然水さん» ありがとうございます〜！めちゃくちゃ嬉しいです！！ (2021年4月7日 19時) (レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
天然水(プロフ) - とても素敵な作品で前作から読んでます＾＾ 素敵な作品有難う御座いますっ！ (2021年4月6日 0時) (レス) id: 5091cdfe04 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - マリンさん» ありがとうございます！その言葉のおかげで頑張れます！！ (2021年4月4日 21時) (レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - 楽しみに待ってました！！弥生さんの作品全部読ませてもらいました。好みどストライクで、最近の生きがいです（笑）これからも無理ない程度に頑張ってください！ (2021年4月2日 23時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：弥生 | 作成日時：2021年4月2日 15時
