にじゅうさん ページ23
「あと顔も綺麗な顔立ちしてる。さっきも言ったが声もいい。
それに、誰かのために泣くこともできる。雨宮は凄い奴だ」
「うぅ…ホント、やめて…」
雨宮は真っ赤になった耳を押さえて机に突っ伏した。
そんな彼女に上から名前を呼ぶと、彼女は首だけを動かして俺を下から見上げてきた。
にやりと笑って見つめ返しながら口を開く。
「お疲れ」
「…もうトラファルガーなんてきらいだ」
「おい、そんな真正面から言われるとかなり傷つくんだが」
「嘘だって。いいから次行こうよ」
割と傷ついた俺にそう告げて、彼女はぐっと体を起こし、俺のスマホに指をさす。
もう、あと7問。
次は俺の読む番だ。
「29、恥ずかしかった体験を相手に話してみろ」
「これ話せるやつでいい？」
「あぁ、構わねェよ。俺からだな。
俺が恥ずかしかったのは、…手で押すドアを自動で開くと思って、しばらくドアの前に突っ立ってたことだ。人がいなかったのが唯一の救いだな」
「えっ、トラファルガーでもそんなことするんだ」
「取っ手がなかったんだよ」
「なんかちょっとかわいい。見てみたい」
何が可愛いだ。男に言うセリフかそれ。
お前の方が可愛いわ馬鹿。
そんな文句を口に出すわけにもいかず、代わりに軽く睨みつけて置いた。
「私はね、んー、めっちゃ無難だけど、入学してきたばっかりの時、廊下で思いっきり転んじゃってさ。しかもまだ全然仲良くなってないクラスの男子とか、まったく知らない先輩とかも居たの。まだ特別棟の廊下だったからよかったけど、正面からずっこけたからちょっとスカート捲れちゃって超恥ずかしかった」
「大丈夫だったのか？」
「手首すりむいた。かなり痛かった」
彼女は右手の手首辺りを掴んで軽く見つめながらさすった。
多分そこを怪我したんだろう。
パシッと彼女の手首を掴んでそこを見つめた。
傷跡は見当たらない。少し浮き出て見える緑色の血管と、力を入れれば折れてしまいそうな細い手首。
「ちょ、ちょっと！ さすがにもう治ったって！」
雨宮はグイッと手首を引っ張った。
するりと俺の掌から抜けて、俺はただそうか、と呟いた。
…俺今雨宮に触ってたか？
「次いこっか」
「そう、だな」
意識した途端に、雨宮に触れていた手のひらが熱くなる。
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もち - にやにやとどきどきとほっこりが止まりません！イッキ読みしました！！ありがとうございます！ (2021年5月31日 4時) (
レス) id: 7417fbe2bd (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - 天然水さん» ありがとうございます〜！めちゃくちゃ嬉しいです！！ (2021年4月7日 19時) (レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
天然水(プロフ) - とても素敵な作品で前作から読んでます＾＾ 素敵な作品有難う御座いますっ！ (2021年4月6日 0時) (レス) id: 5091cdfe04 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - マリンさん» ありがとうございます！その言葉のおかげで頑張れます！！ (2021年4月4日 21時) (レス) id: b916418063 (このIDを非表示/違反報告)
マリン(プロフ) - 楽しみに待ってました！！弥生さんの作品全部読ませてもらいました。好みどストライクで、最近の生きがいです（笑）これからも無理ない程度に頑張ってください！ (2021年4月2日 23時) (レス) id: 999a9c72ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：弥生 | 作成日時：2021年4月2日 15時
