プリン三昧のフーファン短編集 (ページ27)

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雨垂れの唄　プリン×オムライス 17 ページ27

17.
　プリンは知らない。オムライスと自分が、二人の女性を通して深く繋がっているという事を。
　オムライスの前の御侍が、自分の前の御侍が真心を持って面倒を見ていた身寄りのない不幸な少女である、という事を。
　食霊と御侍の出会いは運命的だ。
　それは勿論、必然だが。
　それと同様に、同じ御侍の元に召喚された食霊同士の出会いも運命的なのではないか。
　紅蓮の双眸を綺羅やかに瞬かせ、勝ち気な少女は玉座を象りし金縁の椅子へ腰掛け、足を組む。跪き、頭を下げた腰の低い食霊へ、不敵な笑みを浮かべて交渉を持ちかける。
「なあ、プリン。俺の専属召使いになる気はないか？」
　まるで、どこかの誰かを真似したような物言いにプリンは内心、やはりこの方にも愛着や愛情の概念は存在するのだろうと独りでに納得する。
「それはなりません」
「ほう。それは何故だ？」
「貴方のお世話は、私には荷が重いのです」
「上手く躱すものだな。ま、荷が重くて当然か。やはり、この俺の世話は、ポップコーンと赤ワイン以外には務まらん」
　自慢げにプリンを鼻で笑い、少女は近場の机上へ置かれたティーカップへと口を付ける。
「ふむ……。ちと、甘いな。匙加減を間違えたか」
「ミルクティーですか？」
「おう、その通りだ。堪らないんだよな。この濁りきった紅茶の色と、味わいが。まるで、人や食霊の人間関係をそのまま表したかのような、深層心理を追究した混ざりっぷりだと思わないか？」
　ほくそ笑む少女の言葉に、プリンは深く頷いた。
「ええ。その通りですね。キャトル様」
　私には、よくわからないが。
　上機嫌な伯爵を前にして、プリンは巧みな誤魔化しを吐いた。
　嘘と、言い訳と、ご機嫌取り。
　はぐらかしの言葉を並べるのは、
　マネージャーたる者の得意分野なのだ。