プリン三昧のフーファン短編集 (ページ25)

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雨垂れの唄　プリン×オムライス 15 ページ25

15.
　バカの種類。そうだ。そういえば、その話の続きを聞き損ねていたではないか。
「あぁ～……。も、勿論、覚えているぞ」
「嘘を吐け。今、私に言われて、初めて思い出しただろう」
「う、うるさぁいっ！早く続きを言え！」
「わかった、わかった……。私は自分を、真面目すぎるが故に、バカだと思っている」
「……それの、どこがバカなんだ？」
　食霊は首を傾げた。プリンは食霊の察しの悪さが気に触れたのか、眉をぴくりと潜めさせる。
「わからないのか？だから、お前はバカなんだ」
「んッ、んん～……！怒らない、怒らないぞ……！」
「これは私の推論だが、お前とゼリーは同じバカの種類に含まれているな、と感じる。例えば、そうだな。正直すぎて、相手が求めていない余計な一言を口にしてしまう所なんて、まさに、お前とゼリーの紛れもない共通点だ」
「おっ、お前なあ……！ゼリッチまでバカだって言うのか？！」
「何も、バカの全てが悪だとは言っていないだろう。私はゼリーやお前を良い意味でバカだと思っているんだ」
「バカが良いわけないだろう」
「そうだな。現に昨日まで、私はお前の事を悪い意味でのバカだとしか思っていなかった」
「んなっ……！……うん？昨日まで？じゃ、今は？」
「さっきも言っただろう。私は今、お前を良い意味で、バカだと思っている」
「……なんで？」
「それは……。……自分で、気付いていないのか？」
「だから、訊いているんだろう」
「そうか。やっぱりバカだな」
「ぐ、ぬ、ぬ、ぬ……」
　堪忍袋の緒が今にも切れかかっている食霊へ、プリンは提言した。
「お前は私を、本当の意味で。悪い意味でバカだとは、微塵も思っていないだろう」
「へっ……？」
　図星を突かれた。昨日と今日とで、二回も。
「お前の事は今も気に入らない。しかし、お前の良いところは、私も良いと思いたい。だから、私は」
　プリンの言葉を遮り、食霊は途切れ途切れで、継ぎ接ぎな言葉を必死で並べた。
「小生を、良い、意味で。バカだと、思っている……？」
　うんざりとした様子で、プリンは返答する。
「……だから、さっきから。そうだと言っている」
「ふ、ふ～ん。そうなのか。へ、へえぇ～……」
　なんだ。
　こいつ、実は意外と良いやつだったりして……。