プリン三昧のフーファン短編集 (ページ22)

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雨垂れの唄　プリン×オムライス 12 ページ22

12.
　屋根から零れ落ちてきた雨粒が黄緑の無地生地で仕立てあげられた傘の上を数回跳ねて、地面へ落下していった。
　オムライスがゲームショップに居ると聞かされ、現地へ傘を片手に訪れたのは良いものの、プリンはこの手の店に、一人で立ち入った事がなかった。
　この手の店の中へ足を踏み入れるのは、なんとなく気が引ける。好きなものがあるならまだしも、探し人。
　それも、ゼリッチファンクラブの会長をゼリーのマネージャーが探しに来た等と触れ回られたら、相手が相手なだけに面倒だ。
　会長だからと言って贔屓しすぎているだとか、マネージャーは会長と裏で繋がっていて、会長とゼリーの仲を取り持っている、だとか。
　大した仲ではないし、街中で会ってくだらない言い合いを交わす程度の腐れ縁でしかない筈なのに。世間が騒ぎ立てた噂は、そこまで規模の大きなものになっている。
人形の家と、同じだ。
　あの建物は人間に、怖いという一つのマイナスな印象を与えているに過ぎない代物だ。それは、自分とあのバカの関係についても、全く同じ事が言える。
　仲が悪いというマイナスな印象を与えているだけで、その他に実害のある関係ではない。
　互いに危害を、加えはするが。
　自分とあのバカとの関係は、他人がどうこうできるものではないし、他人の関与する余地のないものだ。自分とあのバカが不仲で、いったい何が悪いと言うのだろう。
　腐れ縁でありながら、日頃の鬱憤を晴らす為、互いに言い合いをしていて、何が悪いと思われているのだろう。
　自分とあのバカの仲が悪いところで、誰かに迷惑が掛かる訳でもあるまいし。どうして自分の御侍からも、オムライスと仲良くする事を、推奨されなければならないのか。
　御侍の感情を知る由もないプリンはそんな事を、悶々と考えていた。
　寧ろ、自分とあのバカに大きく関与しているゼリーは清々しているぐらいではないだろうか。自分を追いかけ回してきた悪質なファンと交流する行為をマネージャーである自分が断固として認めない事にゼリーは何ら、不満を抱えていないのだから。
　ゼリーは正直で素直すぎるあまり、余計な事すら口に出して、発言してしまう。
　そんな彼女があのバカに関する事を何も口にしていないのなら、自分のしている事は、彼女の為になっている筈なのだ。
　他人から口出しされる筋合いなど、一切ない筈なのに。