プリン三昧のフーファン短編集 (ページ21)

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雨垂れの唄　プリン×オムライス 11 ページ21

11.
「ご無事でしたか……」
「うん……。無事。プリン、どうした？何か、心配、あった？」
「部屋で業務をこなしていたのですが、妙に静かでしたから。もしかすると、御侍様の身に何か悪い事が起きてしまったのではないかと思い、こうしてお部屋を訪ねた次第です」
「ん……そっか。俺、生きてる。大丈夫だ」
「そのようですね。ご無事で何よりです」
「でも、オムライス……」
　俯き、御侍は言い淀む。青年の不安そうな面持ちに感付き、プリンは敢えて優しげな口調で、青年の心を落ち着かせるように聞き返す。
「うん？オムライスが、どうかしましたか？」
「無事じゃ、ないかも」
「えっ……？」
　全身の血の気が引いた。
　あの食霊に危険が迫っている事を御侍が知っているのなら、それは御侍も危険な目に晒されかけた事を大っぴらに示しているようなものだ。
　もし、本当にそうなのだとしたら。根本的な要因となる者を、御侍と関係の無いように断ち切らなければいけなくなる。
「ほら、見て」
　御侍は人差し指で、窓を差した。
　差された窓へ目を移す。
　窓の外では、それなりに激しい雨が降っていた。
「雨、ですね」
「そう、雨。だから、無事じゃ、ないかも」
「雨だから？」
「うん。オムライス、傘、持っていって、ない」
　そういう事か。
　言われてみれば、今日はほんの僅かながらも肌寒い。こんな日に雨でも浴びようものなら、体が冷えて、凍てついて。堪らなく寒い思いをするに違いない。
「ね、プリン……。オムライス、迎え行って？」
　純真無垢な御侍の言葉と視線に、
　プリンは初めて、圧力というものを覚えた。