プリン三昧のフーファン短編集 (ページ17)

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雨垂れの唄　プリン×オムライス 7 ページ17

7.
　そこへ建物に関する交渉を持ち込んだのが、今ではコルプス亭のレストラン経営面の基盤を支えるまさに縁の下の力持ちとも称せる、御侍にとってはこの上ない救世主、食霊プリンだった。
　キャトル伯爵は不要なものを持とうとしない主義らしく、それは金銭面も同じ事だった。
　自分が不要な物を売りさばき、その交換の下、手に入れる金貨もまた不要。要は、面倒事は金銭の事情を抜きにして、早めに片を付けるべき。
　それが伯爵の理念であり、人が実感しづらい、世間に対しての温情であった。
伯爵のような貴族が不要とする物は、民間人が喉から手が出るほど欲しがる物である事例が多い。
　建物についての交渉を持ち込んだプリンも、交渉を提案した当時は御侍との間に秘めた一身上の事情により、大金を差し出せる身でもなかった。
　伯爵は自らの視点では貧乏人と大差ない身分のプリンと御侍に約束を取り付けると、たったひとつの約束を守ると２人に誓わせ、２人の誓いをしかと聞き入れた二言目には、建物の所有権を２人へ譲渡した。
　１時間ほど掛けて建物を見て回り、案内をされたとき。プリンが施設や部屋の説明と交えて小出しに語った、建物の所有に関する大まかな経緯は、大雑把にまとめると、そんな内容の話だった。
「御侍様には近付きすぎるな」
　食霊へ一連の説明を終えたプリンが最上階の風に金の髪を靡かせ、不意に奇妙な言葉を吐き捨てた。
「一定の距離を保って、接するように」

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