プリン三昧のフーファン短編集 (ページ13)

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雨垂れの唄　プリン×オムライス 3 ページ13

3.
　倉庫から出ていく、共同生活を始める前から関係に大きな亀裂の入った２人の後ろ姿を青年は静かに見つめていた。
　食霊同士でも、喧嘩なんてするものなのか。
　人間同士の仲違いより先に不仲な食霊二人を目にした青年は、純粋に驚いていた。
自分と同じ種族、或いは似た存在と不仲になる感覚が、青年には、いまいち掴めていなかったのだ。
　尊敬しているものは二人とも同じ筈なのに、二人の仲は、どんなきっかけが訪れても深まりようのないものに見えた。
　どんな人間も、食霊も。
　一人ぐらいは、自分と相容れない同種の存在が居るものなのだろうか。
　自分にも。
　そんな同種の存在が、居るのだろうか。
「居ると、いいな……」
　取り残された倉庫の中。
　誰に言うでもなく、
　黒髪の青年が、ぽつりと呟いた。
　二人の感覚を理解することはできそうにないが。もし、ティアラのどこかに、自分と同じ存在が居たら。有り得ないとはわかっていても、極めて微小な可能性に、途方もない夢を馳せることはできた。

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