惚れるわけないから。【snr】

にじゅういち ページ22

Aside





それからというもの、私は先輩と一切話さなくなった。






『はぁ……』





溜め息ばかりの毎日をいつも通り過ごす。
前までこんなに溜め息吐いてたかな、なんて思ったり。

先輩と話さなくなったが良いのか悪いなのか分からないが、廊下で会うことが多々あった。
でもお互い相手の存在には気付いてるのに知らないフリをして通りすぎる。


そんな生活が始まってから、先輩の人気はまたｸﾞｯと上がっているのを耳にしていた。
それを嬉しいと素直に喜べない自分がいた。






・

私はその夜、夢を見た。


それは私がセンラ先輩に初めて出会った頃の夢だった。


先輩が廊下を塞ぐ女に囲まれていて、それが迷惑だって言ったらいきなり可愛いなんて言われて。
そしたら次の日の朝、先輩が門のところに立ってて、

「俺に惚れる気ない？」なんて言われたんだ。




そこまで見て漸く私は目が覚めた。
ベッドから降りて鏡の前に行けば、目にうっすらと輝いている涙がある。


現実と丸ごと一緒だった夢を不思議に思いながら、先輩のことを思い出す。


あの時は先輩の事めっちゃ嫌いだったな。
私は志麻のことだけ見てたし。


けど今は……？



こんな奴に誰が惚れてやるかって思ってたけど、
志麻よりは下だけど、
惚れた訳じゃないけど、






_____先輩も十分、カッコいいよね。

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