ちちんぷいぷい、恋になぁれ。 (ページ25)

今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:92,768 hit

ぶきようページ25

.

「今日からは、俺が家族や」

そう言って
乗り心地の悪い
なで肩な肩車に私を乗せ
おじちゃんは葬儀場をあとにした。

『おじちゃん……こわいひと？』

「怖い人ちゃうよ。おっちゃんは、お嬢ちゃんの味方や！…せやから、なーんも心配することないんやで？」

おじちゃんは
嫌な思いをしないようにと
私に新しい名前をくれて
家族として迎えてくれた。

おじちゃんとの出逢いが
私の新しい人生のスタート地点。

「おっちゃんは、ちょびっと……いや、かなり頼り無いかも知らん。それでも、Aのことを絶対に悲しましたりはせぇへん。ずっとずっと、Aを見守る、俺はそう誓ったんや」

独身だったおじちゃんは
料理も子育ても未経験で
そんな、おじちゃんと私の生活は
この日から
不器用にゆっくりと始まった。

『まじゅい～、たべたくないっ』

「なんでやぁ～っ、おっちゃんせっかく作ったんやから食べてやぁ～っ」

『いややっ！…もう、いらんっ』

おじちゃんが作る料理は
致命的にマズかった。

玉子焼きを焼けば焦げるし

お米を炊けば芯が残るぐらい固いし

お味噌汁を作ったかと思えばしょっぱいし…

それでも
私はおじちゃんが大好きだった。

だから
おじちゃんがアホなのも
笑って許せた。

……ううん、違う。

おじちゃんがアホだから
私はおじちゃんが大好きだったんだ、きっと。

.