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北斗の過保護は、慎太郎対象にもバッチリ作動していて、今も子ども達2人だけじゃ危ないからって、3人で手を繋いで歩いている。
「そういえば、さっき写真送りたいって言ってた友達って、風磨?」
「せーかい。Aが産休って聞いて、旦那どんな人か予想選手権してた。」
何してんだよ。暇なの?そして、おそらくそれは大喜利に近いヤツでしょ。
「樹はいま、何してんの?」
「看護師。去年専門学校卒業したばっかのペーペーだけどな。」
樹がどこか照れくさそうに、はにかむ。
「頑張ってんじゃん。お母さんも元気にしてる?」
「それが、ママも再婚したパパも、先月に事故で亡くなってさ。ジェシーと2人で暮らし始めて、ようやく少し生活が落ち着いたところ。
ジェシーがパパとママの死をどこまで理解してんのかは分かんないけどさ。」
そういえば、管内で夫婦が亡くなる事故があったって聞いたな。
まさか樹のご両親だったなんて。
「んな湿っぽい顔すんなって。俺だってもう大人なんだし、少しずつ前向き始めてんだから。
ジェシーと2人暮らしできるように、夜勤のある病院を退職して、小児科クリニックの面接受けてきたところなんだから。ちなみにその場で内定。」
なんて笑う樹は、あの時よりずっとたくましくて、悲しそうな顔をしてたら彼に失礼な気がした。
「成長したね。昔は、弟ができて赤ちゃん返りして非行に走ってたのに。」
「なんだよ、その話。どこ情報?」
「樹のお母さん。当たってるんでしょ?」
舌打ちしながらも顔が赤くなっているから、きっと事実なんだろう。
当時はガチガチのヤンキーだったのに、考えていたことはめちゃくちゃ可愛い。
お母さんは署まで迎えに来ると、「根は優しい子なんだけど、再婚や妊娠で息子に負担をかけてしまっていて」といつも謝っていた。
「看護師目指したのも、お母さんに憧れて?」
「もうママの話はいいだろ!」
図星か。お母さん、樹が看護師目指すって言ったとき、嬉しかっただろうな。
「ま、いきなり働きながら5歳の子を育てるなんて、めっちゃ大変なんだから、何かあったらいつでも連絡してきな。
ちょうどいいことに、慎太郎とジェシーくんも、仲良しみたいだし。」
「ありがと。」
なんて話しているうちに、家の前に着いた。
「僕ん家ここ!」
「は?いや、ここって。」
「樹、どうしたの?」
「俺がさっき採用面接受けたクリニックなんだけど。
まさか、Aん家なの?」
そういえばおじさん、面接があるって言ってたな。
こんなことってある?
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ぽん(プロフ) - 続きが楽しみです!更新楽しみにしています (8月8日 21時) (レス) @page7 id: ff3dfdb4f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごじゃむ | 作成日時:2023年8月4日 11時