お疲れさま ページ5
「疲れたー、特に帰ってきてからが疲れたー。」
一緒に住宅スペースに戻ってきた北斗を、じとっと睨む。
「今日も仕事ハードだったんですねー。」
「か・え・っ・て・き・て・か・ら・が!疲れたなー!」
「むちゃくちゃ強調するじゃん。疲れてんなら、早く寝よ。」
北斗はそう言って笑って、それぞれ巻きで寝る支度をしてから、一緒にベッドに入った。
「今日、慎太郎のお迎えどうする?」
基本的に、どちらかが朝仕事を終えて帰ってきた日は、仮眠を取ってから早めに慎太郎を迎えに行く。
今日みたいに被った日は、一緒いくことも結構あるけど。
「一緒に行く?慎太郎も喜ぶだろうし。Aが大丈夫なら、帰りに公園でも寄らない?」
「いいね。最近慎太郎ともなかなか外でゆっくり遊べなかったし。
それじゃ、2時頃お迎え行く?」
「3時くらいでもいいんじゃない?
Aも睡眠時間ちゃんと確保しなきゃ。」
あーあ、こんなところでも過保護発揮してるよ。
「普段、24時間勤務を仮眠だけで乗り切ってる分、耐性ついてるから大丈夫。」
「普段が睡眠不足だから、寝れるときに寝とけって言ってるのよ。」
「あぁ言えばこう言うねぇ。」
なんて軽口を叩いていると、不意に北斗が私の胸に顔を埋めてきた。
こういうときは、仕事で何かあったサイン。
仕事柄私も北斗も、どうしたって救えないケースにぶち当たるときがある。
そして、相手が話し出すまで何があったか聞こうとしないというのが、いつしか私たちの暗黙のルールになっていた。
言いたくないときは、ただ黙って相手にくっつく。
「今日、運ばれてきたのがさ、慎太郎と同い年の男の子で…
できる限り手は尽くしたんだけどさ…」
どうやら今日は、聞いて欲しい気分みたい。
さっきの元気はどこへやら、震える声でぽつぽつと話し出す北斗の頭を、少しでも安心できるようにと撫でる。
昔は泣き虫だったのにね。
いつも平気な振りをして頑張る彼が、こうしてゆっくり休める場所になれればいい。
北斗の仕事も、私の仕事も、救えたことはそれほど印象に残らないのに、その逆のときはめっちゃ辛いって感じるのって、仕方ないこととはい不公平だなと思う。
しばらくして寝息が聞こえたところで、私も眠りについた。
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ぽん(プロフ) - 続きが楽しみです!更新楽しみにしています (8月8日 21時) (レス) @page7 id: ff3dfdb4f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごじゃむ | 作成日時:2023年8月4日 11時