うちの過保護な番犬くん (ページ19)

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｢もー、ダルいって。むりー。｣

｢ったく、自業自得だろ。
ふらっふらのヤツに背中預ける身にもなれよ。｣

確かに、2人一組で仕事を組んでいる以上、こういうときに私のせいでニノさんを危険な目に晒すことはある訳で。

そりゃまぁ、ニノさんからすれば最悪な話というか、迷惑もいいところというか。

｢そんな言い方するから、柄にもなくシュンとしちゃったじゃないですか。
ホントは心配なだけなのに、ニノさんは素直に言えないんだから。｣

ニノさんは、コイツにはこういった方が聞くだろ、なんてブツブツ山田に言い返してる。

なんだかんだ、この人にはいつも勝てない。

｢すみません。迎えに来ました。｣

それから少しして、北斗は思いの外早く迎えに来た。おじさんは車で待っているらしい。

｢もう、昼前から具合あんまり良くなかったんじゃないの？いや、もっと言えば昨日の夜から食欲なかったし。｣

｢大袈裟。ちょっと疲れが出ちゃっただけ。｣

「ちょっと疲れが出ただけでそんなに高熱は出ないでしょ。慎太郎の感染しちゃったんじゃない？喉の痛みは？口にブツブツできてる？他の症状は？大人が罹ると重症化しやすいんだから。」

「もう、うるさい。ここ職場。」

いち早くこの場から逃げ出したくて立ち上がった瞬間、フラッと来てしまった。しかし、倒れることはなくがっしりと受け止められた。何が起きたのか把握できずにされるがままで、気づけば北斗におんぶされていた。もともと熱かった顔がさらに熱くなる。

「何考えてんの！バカなの？！」

「無理し過ぎて動けなくなっちゃった人より、バカじゃないと思うけど。」

あ、これやばい。稀にみるレベルで怒ってる。

「お大事にー」なんて言いながら笑って手を振るニノさん達に見送られ、鬼の待つ車に乗った。もういっそのことタクシーで帰ろうかというくらい、車内が怒気で満ちている。

「何か言い訳は？」

「父さん、そんな可哀想なこと聞くなよ。立ち上がるのもできないくらい無理したのに、言い訳なんかできるわけないだろ。」

「そうだな。ごめん、A。」

こっわ！！普段から散々凶悪犯と対峙してるのに、ここ最近で1番身の危険を感じている。

この後せめて大我くんが診てくれたらなーと思ったけど、大我くんに診察をお願いするなんてことをしたら、このお怒りワンコにさらにガソリンを注ぐことになる。

私に残された選択肢は、北斗かおじさんに診察されるという地獄ルートのみだ。

せめてストッパーで大我くんに同席してもらえないかな。