うちの過保護な番犬くん (ページ12)

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息子の具合が悪いんだったら早く帰ってやれ、というニノさんのご厚意で、報告書の作成などの事務仕事はお願いして、いつもより少し早く帰ってきた。

｢ただいま。｣

北斗は仕事に行っていて、スクラブを着た大我くんが慎太郎を抱っこして出てきた。

｢おかえりなさい。
慎太郎の様子、北斗から連絡いってた？｣

｢それはもう、逐一。
頑張ってご飯食べたことも、お父さんから聞いたよー。｣

大我くんの腕のなかから、こちらに手を伸ばしてくる慎太郎を受け取って褒めると、寂しかったのか顔を肩に擦りつけてきた。

｢大我くんも仕事始まるギリギリまでありがとね。｣

｢どういたしまして。
慎太郎はこのあとどうする？お母さんと一緒に寝るか、俺とさっき見ようとしてたDVDみるか。｣

｢お母さんとDVDみる｣

｢Aちゃんはこれから寝ないといけないから、Aちゃんと一緒がいいなら、慎太郎も寝んねしよ？いっぱい寝た方が早く良くなるよ。｣

｢起きたばっかだもん。お母さんとみるの。｣

｢いいよいいよ。1日寂しい想いさせてたし。大我くんだって仕事あるでしょ？
仕事で丸２日間働いてるなんてこともあるんだから、大丈夫。｣

｢ほんと？じゃあ、キツかったらいつでも呼んでね｣

こういうところが、北斗とは違うところ。北斗だったら、断固拒否しそうだもん。

セットだけしていくね、と大我くんが再生してくれたのは、ポケモンのDVD。

｢慎太郎ー、テレビみないの？｣

｢いーの。｣

あんなにDVDが観たいと主張していた慎太郎は、テレビに背を向け、私のパーカーの紐をいじいじしている。

一緒にDVDを観たかったってよりは、起きてる私と一緒に居たかったのかもしれない。

仕事だったとはいえ、具合が悪いときにまで寂しい想いをさせてしまったことに申し訳なくなる。

｢お父さんとおじいちゃんと大我くんと、お留守できておりこうさんだったね。｣

｢…慎ちゃん、もうお兄さんだもん。
…でも、ちょっとだけさみしかった｣

ごめんねと謝る代わりに、抱きしめる腕に込める力を強くした。慎太郎の体は、湯たんぽのようにホカホカだ。

｢早く良くなりますように。｣

おまじないのように背中をとんとんし、気づけば慎太郎は夢の中だった。