切り傷 ページ1
「午前5時45分、傷害の容疑で現行犯逮捕!」
逃走した挙げ句、逮捕しようとしたところ刃物で抵抗してきた犯人に、ようやく手錠をかけられた。
「A!大丈夫か?!」
後ろから、いまの部署、機動捜査隊でバディを組んでる先輩のニノさんが追いついた。
どちらかと言うと、ニノさんが頭を使い、私が実働部隊になるようなかたちで、24時間覆面パトカーに乗りながら、こうして通報を受けたときにすぐさま現場に向かっている。
そういう仕事という都合上、それなりに危険な場面にも出くわす訳で…
「まぁ、なんとか?」
「なんとかってお前、ほっぺ切れてるじゃん。」
「うそ、今気づいた。やっちゃいましたねー。まさか刃物持ってるとは。」
応援に駆けつけた人に犯人を引き渡したところで、確かに頬が熱いことに気がついた。
「あんまり無茶するなよ。」
「無茶するなって、あっちに逃げるはずだから先回りしてダッシュしろって指示出したの、ニノさんじゃないですか。」
「俺はダッシュしろってところまでしか言ってないから。無茶も大概にしときなさい。
もう勤務終わりの時間だろ?報告書は俺がやっとくから、早く家に帰って旦那に診てもらいな。」
「いいですよ、今日は忙しかったから、ニノさんだって疲れてるでしょう。」
こういうときに限って、無駄に過保護な幼馴染みの夫、北斗は当直明けで家にいる予定だ。きっと傷を作ったことにグチグチ言いながら、バカみたいに丁寧に手当をするんだろう。
いつも思うけど、傷ができるときより消毒の方がずっと痛い気がする。傷ができるときって、アドレナリン出てるし。
「先輩命令。
嫌なら次から気をつけるんだな。」
前に怪我をしたときに北斗のことを愚痴って以来、ニノさんに弱みを握られてしまったみたいだ。
渋々ニノさんの言うことを聞いた私は、重たい足で家へと帰った。
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ぽん(プロフ) - 続きが楽しみです!更新楽しみにしています (8月8日 21時) (レス) @page7 id: ff3dfdb4f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごじゃむ | 作成日時:2023年8月4日 11時