素直になれない理由 2 (ページ4)

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少し元気をもらえた私はやる気を出し、再び総務課のオフィスへと向かった。
と、その途中の廊下だった。

「今日はありがとうございました」

打ち合わせが終わり、帰るところの望と佐々木さんに鉢合わせた。営業部の女性が目を輝かせ、嬉しそうに案内をしている。

「お疲れ様です」

「Aさん、先日はごめんね」

「いえ、私の方こそ空気悪くしてしまって」

佐々木さんは怒るわけでもなく、普通に話しかけてくれたから少し安心した。取引先ということで、あまり問題を起こしたくないのは事実だった。

「仲直りしたんだ？」

「まあ、一応」

苦笑いを浮かべてしまう。仲直りも何も、最初から喧嘩なんかしてないんだから。

「A、ちょっと時間ある？」

「あー、この書類届けなきゃ」

望は私を見たあと、くるっと佐々木さんの方を向いた。

「佐々木さん、このあと直帰ですよね」

「そうだけど」

「先帰っててもらっていいっすか？」

「…仕方ないな。あんまり迷惑かけるなよ」

佐々木さんは呆れたように笑うと、営業部の子に案内されてエレベーターに乗り込んだ。

私と望の2人になる廊下。

「ああやって言っておいたら牽制になるやろ」

「え、そうなん？」

「Aに用があるから先に帰ってって、意味深ちゃう？」

「それ牽制になってんのかな…」

望は総務課の前までついてきて、私のおつかいが終わるのを待っていてくれた。総務課は望を見て少し騒ついていたが、私は書類を渡すと逃げるようにオフィスでた。

「今日は残業？」

「残業やで」

ラウンジで望にコーヒーを買う。ここでコーヒーを奢るのが癖になってきている自分がいた。

「なあ、気づいてんけどさ、」

「何？」

「俺、Aの連絡先知らん」

「あれ、そうやっけ？」

望と連絡する機会がなかったから、あまり気にしていなかったけど、何かあれば会社のスマホでやり取りをしていたことを思い出した。

その場で自分のスマホを取り出すと、望から番号を聞く。

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