素直になれない理由 2 (ページ17)

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「なんや、いじめられてんのか？」

後ろから覗き込む濵田さんは驚いた表情だった。
誰がどう見ても荒らされているとしか思えない。人的なやり口から、完全に私を狙った嫌がらせだ。

言いたい事があるなら直接言いに来たらいいのに。

そうこうしてる間にも始業の時間は迫ってくる。苛立ちを隠せないまま、無言で片付けていった。

ようやく片付き、PCを起動した。
社内メールを確認すると、一通の未読メッセージが入っている。

《調子に乗ったこと後悔させてあげる》

知らないアドレスで、社用メールではなかった。
寒気がして、自分が管理してるデータを確認してみる。

「うそ、ない！」

昨日作った資料だけじゃない。
過去のデータも、記録も、何もかも。

フツフツと湧き上がる怒りに耐えきれず、席を立つ。自然と歩幅は大きくなり、早足になっていた。

「私が何したっていうのよ！」

ラウンジの自販機をグーで叩いてみても、鈍い音が響くだけで心が落ち着くわけではなかった。

毎日コツコツ仕事を片付け、それなりに人付き合いもこなしてきた私に、誰かが恨みを持っている。

「松野さん、か」

昨日のことを思い出せば、松野さんのあの納得のいってない表情は、私に対する怒りに近い気がする。

だからって、そんな幼稚な真似するかな？

「あ、Aだ」

「鈴木さん！」

ニコッと笑って駆け寄ってくれた。経理部の鈴木さんがこのフロアにいるなんて珍しい。こっちに急ぎの用事でもあったのかな。

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