素直になれない理由 2 (ページ1)

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ーMonday 12:00

昼休みには入ってすぐ、沙希は突然私のデスクに現れた。

「A、ランチ行こう」

弾丸だな、と思いながらも何の予定もない私は、二つ返事で席を立った。取引会社との合同プロジェクトが進んでいて、仕事もしばらくは忙しくなる様子。

「最近、残業ばっかしてる」

「私も」

騒がしい社員食堂で、私たちは向かい合って座る。
沙希はパスタを頼んだ。私はここに来ると決まってきつねうどん。

「で、何の話？」

「え？」

「何か話があるから、ランチ誘ったんでしょ？」

「さすがA！私のこと何でもわかってる！」

沙希は嬉しそうに笑った。笑った沙希は本当に可愛いと思う。あっさりした性格とのギャップに心を掴まれる感覚。

「実は…流星くんと付き合うことになりました！」

「え！そうなんだ！」

話があるとは思っていたものの、内容までは検討ついてなかった。めでたい報告に、お似合いだと感じていたもんだから、心から嬉しく思う。

「おめでとう！よかったね！」

かっこいいと思って、好きになって、その相手とうまく行くなんて。この歳になると、そんなことが奇跡のように感じる。

「そういうAはどうなの？」

「何が？」

「こないだ合コン行くって言ってなかった？」

「あー、あれね」

取引相手の佐々木さんと、望のことが好きな愛美ちゃんに仕組まれた、しんどい合コンだったことを話す。

あの後、愛美ちゃんには空気を悪くしたことを謝ったけど、それもこれも実は演技だということは秘密にしたまま。愛美ちゃんはまだ、私と望の仲が悪いと思っている。

「え、喧嘩のフリして逃げたの？」

「そうでもしないと、帰れなかったの」

「佐々木さん、怒ってないの？」

「多分。そういえば、今日の午後打ち合わせとかで佐々木さんと望が営業部出入りするらしい」

「女子が荒れるね」

合同プロジェクトのおかげで職場でよく会うけど、望がうちの会社に来ると、化粧室は女性社員で混むシステムになっていた。

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