七十二枚目 ページ26
Aside
部屋を出て、廊下を歩いているとばったり灰崎と会った。
「んだお前、どっから…何?センセーに呼び出されたのかよ」
「お前は早く部活行け。てかなにその傷喧嘩?ダッサ」
「は?」
出会って五秒で喧嘩である。
顔面に傷を負っている灰崎は私の布団をつかみ、私は脛を蹴ろうと足を上げる。
それに勘付き灰崎はひょいとよけ、ついでに布団も離したので私は得意げにふんと鼻を鳴らした。
「ほら、早く体育館いくよ」
「…俺今日怪我したとこがいてぇからいかね」
「は?嘘こいてんじゃねぇよ。虹村さんに言うからな」
「またチクる気かよ、性格わりぃなお前ほんと」
「お前には負けるんだわ」
またとっつかみ合いになり、次こそはコイツの脛を蹴り上げてやると意気込んでいると間延びした声が聞こえた。
「二人してなにやってんの〜」
その声の正体は紫原で、あいかわらずでかい図体をしていらっしゃる。
灰崎はああ?と紫原の登場に、不満そうに声を漏らした。
「弱い者いじめとかダッサいからやめな〜崎ちん」
「んだとアツシっ」
「もーいーから二人とも部活行けよ!」
ここでまた男二人にもめられても嫌なので、灰崎の右脛を蹴ってその場を収める。
いてぇな!と怒鳴る灰崎に布団の中からあっかんべーをしてやると、まだ懲りずにつかみかかってくるがそれを紫原が遮った。
すると灰崎は舌打ちを鳴らして、体育館とは逆の方へ歩いて行った。
結局部活、いかないのか。
ふぅと静かに息を吐いていると紫原が私の頭上に手を置いて一言。
「助けたお礼は?」
やかましい、と言ってやりたい気持ちだった。
というかあれ助けてくれたんだ、ちゃちゃ入れに来たのかと思った。
ずいと手のひらを出してくるので、仕方なくカバンの中にあるブドウ味の飴を投げてやった。
紫原はそれをうまくキャッチする。
「ありがと〜、腹の足しにもならねーけど」
「一言余計なんだわ」
包みをはがしてぱくんとその場で口に入れた紫原。
「!…これどこの?」
「マーベル」
「好きなの?」
「まあ好き」
「あっそ」
「あっそ?」
もっと他にないのか、と思ったがなんだかんだ満足したみたいで何よりである。
紫原の相手は、小さい子供を相手しているような感覚になるんだけどなにこれ。
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こたきんぐ(プロフ) - 。さん» お返事遅くなりすみません!いいえ…完結ではありません…続きます…また近々ぼちぼちあげます(泣) ありがとうございます! (2022年11月7日 23時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
。 - 面白くてイッキ見しちゃいました!ちなみにこれは完結なんですか? (2022年10月30日 22時) (レス) @page36 id: 309377f64b (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - (名前)まいさん» ありがとうございます!ぼちぼちやってきます…!! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
(名前)まい(プロフ) - 最高 (2021年8月14日 22時) (レス) id: ec16fd7069 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - ぼた餅さん» ありがとうございます!お返事遅くなり申し訳ないです…。ほんと自分のペースになるんですが頑張らせていただきます! (2020年8月16日 17時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2020年5月23日 20時