八十枚目 ページ34
Aside
二年生になって一か月ほど経った頃。
有井先生に放課後呼び出された後、一人で焼却炉側から体育館へ向かっていると、女子がゴミ箱を三つくらい持っている場に出くわした。
よく三つも持てるな、とチラと見て通り過ぎようとしたらあぁ!なんて言って一つのゴミ箱を落とし中身をぶちまけていた。
「……」
「あぁ…、っえ!?」
私は生ごみっぽくなかったので素手でひょいひょいと落ちた紙屑をゴミ箱に入れていく。
そんな私の様子にゴミ箱を落とした女子は驚いているようだった。
「あ、えと、ありがとう!」
「いーえ」
それから黙って二人で落ちたゴミを拾い終えた。
そのまま私は中身が入ったゴミ箱を布団につかないよう持ちあげ焼却炉へ足を向ける。
「ぃ、いいよ!悪いよ!」
「さっき落としてるの見てるし、このくらい持つよ」
わたわたしている彼女に一言二言言ってやれば黙った。
というわけで焼却炉まで二人でゴミ箱を持って向かった。
中身を燃やし終え、このゴミ箱を教室まで運んでやるかと息を吐いていると彼女が口を開いた。
「本当にありがとう!あとは私一人で持てるから。…山梨さんって、優しいんだね」
「別に、目の前でゴミまき散らしてるの見てあのまま通り過ぎたら性格悪すぎだと思っただけだから」
「そっか」
ふっ、と彼女が笑うのが聞こえた。
もう一度彼女は私にお礼を言って、空になったゴミ箱を三つ持ち教室のある校舎へ歩いて行った。
私はそれを見届け体育館の方へ一歩進む。
すると一人の不良がこちらへ向かってきていることに気付く。
その手にはバスケットシューズがぶら下がっていた。
「…それ、燃やすもんじゃないけど。ついにその区別もつかなくなった?」
そのまま歩けばこの先は焼却炉。
イラついたような顔で私の隣を通りすぎようとする灰崎に私は思わず声をかけた。
「バスケ辞めるからいーんだよ」
「……なんで」
「…飽きたんだよ。なんでなんでって、テツヤにも言われたわ」
灰崎のずっと背後に立ち尽くしている黒子の姿が見えた。
黒子も、止めようとしたんだ。
「まあいいけど。私に止める権利はないし、止める理由もないしね」
「だったらそこどけ。お前の布団ごと燃やすぞ」
バッシュをふらふらと揺らしながら脅し言葉を吐く灰崎。
「…ふん、燃やして後悔すればいい。あんたの場合、気が変わってまた始めるみたいなことあるよ」
「ねーわ」
私がすっと体をよけてやればすぐそこにある焼却炉にバッシュをぽいと投げ入れた。
すぐにごうごうと燃えて、焼却炉から火の粉が舞っていた。
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こたきんぐ(プロフ) - 。さん» お返事遅くなりすみません!いいえ…完結ではありません…続きます…また近々ぼちぼちあげます(泣) ありがとうございます! (2022年11月7日 23時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
。 - 面白くてイッキ見しちゃいました!ちなみにこれは完結なんですか? (2022年10月30日 22時) (レス) @page36 id: 309377f64b (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - (名前)まいさん» ありがとうございます!ぼちぼちやってきます…!! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
(名前)まい(プロフ) - 最高 (2021年8月14日 22時) (レス) id: ec16fd7069 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - ぼた餅さん» ありがとうございます!お返事遅くなり申し訳ないです…。ほんと自分のペースになるんですが頑張らせていただきます! (2020年8月16日 17時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2020年5月23日 20時