08 気にするもんは気にする ページ9
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「お隣さんも、お料理するんですね」
不躾ながら、お隣さんのカゴの中を拝見すると野菜やお肉などの材料が入っていたので自炊するのかと疑問に思った。
この見た目で料理男子って、だいぶハイスペックじゃないか?絶対モテるよ、というか料理出来なくても全然モテてる。
「はい、料理するの好きなんです」
照れるようにいうお隣さん。
その周りにいた女性が、心做しかぽっと頬を染めたり、また心做しか私を見る視線が鋭かったり。
…え、素直に怖い。
その視線に気づいた私はじりじりと距離をとり、では…と、お隣さんに別れを告げる。
彼はただただ首を傾げ、不思議そうな顔をしてもう一缶手に取った。
それから買い物を終え、スーパーを出た。
カートを戻して、両手にスーパー袋を吊り下げ歩いて家に帰ろうとするとなんとまあまたまた偶然。
片手にエコバッグを下げたお隣さんがいた。
「時間、重なっちゃいましたね」
「ふ、重なっちゃいましたね」
夕日が彼の金色の髪をキラキラと照らし、風がサラリとなびかせた。
やはりかっこいいな、とは思うものの、好きになるタイプではないなと失礼ながら何となく思う。
「一緒に帰りませんか」
「え?」
「荷物、片方持ちますよ」
お隣さんは私の返事を聞かずに、優しく片方のビニール袋を手に取る。
いや家近いですし!と申し訳ないので返してもらおうとしたものの、遠慮しなくていいです、と微笑まれ今回は私が折れた。
「ありがとうございます」
「いえ、…それにもう暗くなりますし、危ないですからね」
「…はは。また、お礼させてください」
「そんなの気にしなくていいのに」
気にする気にする。
基本的にお礼をしないと気が済まないタチだから、よく友人から細かいと言われたりある意味めんどくさいと言われたことがあるが知らん。それが私だ。
お隣さんと他愛のない話をしながら、隣合う自分たちの部屋まで帰った。
今日初めて会った子供たちとサッカーしてきたことを話せば、楽しそうですねと笑って頷いてくれたり。
スポーツ関係でテニスをやっていた時があったことを話してくれて、盛り上がったり。
そんな本当に他愛のない話を続けて家まで帰ってきたわけだけど、それだけで楽しかった。
買い物袋を持ってくれたことについてちゃんとお礼を言ってから、互いの部屋に入る。
そういえばお隣さんの名前知らないな、と買ってきた具材を一人暮らしにしては大きめの冷蔵庫に入れながら思った。
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礼 - すっごく面白いです!続き楽しみに待ってます! (2021年12月12日 8時) (レス) @page38 id: 1125244af9 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - ぱるむさん» 流れは一通り書いているのですがちゃんとした文字に起こすのがすごく手間取っていまして…、ぼちぼち頑張っていきたいです!ありがとうございます! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - アイスあるさん» ありがとうございます!!返信遅くなってごめんなさい、マイペースですがぼちぼちやっていきます! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむ - 復活待ってます!すごく面白かったです! (2021年2月15日 18時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
アイスある - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2020年5月27日 18時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年9月6日 17時