31 急すぎる差し入れ ページ32
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それから私はそのままあの遊園地のホームページを作っていった。
作業の間は引きこもり、ある程度出来たら新しく変わったクライアントである広報部の人にデータを送信して、指摘を受けての繰り返し。
そりゃあ簡単に依頼主が求めるものなんて作れない。
でもそれに近づくようメールで何度もやり取りして、依頼主が笑顔でこれだと言ってくれるようなものを作るのが私の仕事だ。
それを何度も繰り返す、まともな食事睡眠を取っていない私。
私の取り柄は仕事の速さである。
仕事が早く、依頼人の望んだものを作る、作るものにあまり癖がないからハマりやすいと元上司に言われた。
所謂個性がないと捉えれるけど、みんな満足してくれるので私的にはそれでいい。
ぐぅう、と腹部から鈍い音が聞こえて、そういえば昼食べてないなとペンを持つ手を止める。
冷蔵庫に十秒チャージがまだ残っていたはず。のそのそと冷蔵庫まで歩いていこうとすると、玄関先のチャイムがなった。
「……誰だろ」
インターホンの画面に映し出された映像を覗くと、そこには笑顔を浮かべた安室さんの姿があった。
そしてそんな安室さんの手にはラップを被せたサンドイッチの乗ったお皿が。
もう一度自分の腹が鈍く鳴る。
「……はっ、待って今の私の格好やばい!!」
扉を開けようと手にかける前に、ふと我に返り大声を上げた。
安室さんからの大丈夫ですか?という声にちょっと待ってくださいと返し裸足で部屋を駆ける。
お風呂は入ってた、でも頭はボサボサ、すっぴん、人様に見せれるような顔面ではない。
顔を洗って、髪を梳いて、マスクをつけて、玄関にあるサンダルを履き扉をゆっくりと開けた。
「おっ、またせしました!!」
「すみません、いきなり来ちゃって」
そう謝る彼の顔を見れば、なんとも複雑な笑みを浮かべているではないか。
無理もない、私が安室さんの立場だったら今の彼以上に引きつった笑みを浮かべてる。
「サンドイッチ、作りすぎちゃって。よかったらと思いまして」
「ナイスタイミングですよ安室さん!私お腹ぺこぺこで…ありがとうございます!
あ、それとこの前貸してもらったままのハンカチ!返さないと…、少し待ってくださいね!」
美味しそうなサンドイッチが乗ったお皿を受け取り、私はまたパタパタと部屋を駆けた。
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礼 - すっごく面白いです!続き楽しみに待ってます! (2021年12月12日 8時) (レス) @page38 id: 1125244af9 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - ぱるむさん» 流れは一通り書いているのですがちゃんとした文字に起こすのがすごく手間取っていまして…、ぼちぼち頑張っていきたいです!ありがとうございます! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - アイスあるさん» ありがとうございます!!返信遅くなってごめんなさい、マイペースですがぼちぼちやっていきます! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむ - 復活待ってます!すごく面白かったです! (2021年2月15日 18時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
アイスある - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2020年5月27日 18時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年9月6日 17時