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11 優しい可愛らしい女性 ページ12

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「風見、急に悪かったな」

「降谷さん…、大丈夫です。いつもの事ですから」

「言うようになったじゃないか」




少し離れた公園のベンチで風見を待たせ、その反対側のベンチに座る。

渡す資料が出来たので速球に取りに来てほしかったのと、そのついでに頼んでいたことの報告をしてもらおうと思って、急にこの公園に呼び出したわけだ。

僕が電話をした時、風見は真反対の公園でいたらしい。
けどそこポアロから近いところだったし、そんなの所で堅苦しい風見と話してたら安室を知っている人が見れば、不思議に思うだろ?
だからそこから離れたところの方が、知り合いに会う確率が低くなるんじゃないかと思って。




「…ん、なんだ風見。お前もそのコーヒー持ってるのか」

「あぁ、さっきの公園でコンビニの袋を持った可愛らしい女性に貰ったんです。お疲れ様です…って」




優しさが胸にしみました、と言いながら風見は元々開けていたその缶コーヒーを一気に飲み干した。

その缶コーヒーは、僕が持っているものと同じ種類で。




「あれ、降谷さんもそのコーヒー…」

「僕も、可愛らしい女性にもらったんだよ」




ぷしゅりとプルタブを引いて、缶の口を開ける。

同じ人かもしれませんね、という風見の言葉に既に核心づいている僕はそうだなとだけ返した。



僕の、安室透の部屋の隣の住民のことはもう部屋を借りる前からリサーチ済みだ。

名前、年齢、出身地、職業、親の職業まで調べて全て見た後白だと判断し引っ越してきた。


彼女は東京生まれの東京育ちでフリーのWebデザイナー。二年前ストーカーに合い、それがきっかけで会社を辞めることになって今はフリー。

親は両親とも都外から東京に引っ越してきて、今は仕事の都合上海外の支店で働いているらしい。それは事実。


だから、白。どう考えても一般人の彼女。


僕からしても、彼女からしても、僕達の関係はただのお隣さん(・・・・)なのだ。




「それで、降谷さん。この件なんですが」

「あぁ」




風見から報告される内容に耳を傾け、僕は開けた缶コーヒーに口をつけた。


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- すっごく面白いです!続き楽しみに待ってます! (2021年12月12日 8時) (レス) @page38 id: 1125244af9 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - ぱるむさん» 流れは一通り書いているのですがちゃんとした文字に起こすのがすごく手間取っていまして…、ぼちぼち頑張っていきたいです!ありがとうございます! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - アイスあるさん» ありがとうございます!!返信遅くなってごめんなさい、マイペースですがぼちぼちやっていきます! (2021年8月28日 12時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむ - 復活待ってます!すごく面白かったです! (2021年2月15日 18時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
アイスある - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2020年5月27日 18時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/  
作成日時:2019年9月6日 17時

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